さっさと買い替えるのが吉

Windows 10サポート終了まであと2か月。ここまで粘ってきたユーザーへの選択肢はこれ

Munenori Taniguchi

Image:Hamara/Shutterstock.com

マイクロソフトは、Windows 10のサポートをいまから2か月後の10月14日で終了する。この日が過ぎれば、マイクロソフトはWindows 10への機能アップデートやセキュリティアップデートの配布を終了するため、ユーザーはPCのOSをWindows 11に更新するか、別の方法を検討しなければならない。

サポート期間の終了が近づくにつれ、マイクロソフトは使用中のWindows 10の画面半分、または全面を覆い隠す形でWindows 11へのアップグレードを促すメッセージを時々表示している。作業に集中しているユーザーからすれば、悪質とも感じるやり方には腹も立つところだ。

Windows 11への移行が進まない理由が、その高すぎるハードウェア要件であることも忘れてはならない。マイクロソフトはWindows 11を搭載するPCへの要件として、(インテルCPU搭載なら)第8世代Coreプロセッサー以降、セキュアブート対応、Trusted Platform Module(TPM) 2.0対応などといった要件を設定している。

だが、これを満たさないPCでも、まだまだ日常的なコンピューティングや、ちょっとしたゲームをプレイする程度なら、必要十分な性能を持っているPCがまだまだ活躍しているのだ。

とはいえ、すでにWindows 11をリリースしてから4年が経過しようとしていることを考えれば、さっさと新しいOSに移行して欲しい気持ちが分からないでもない。

では、いままでWindows 10で粘ってきたユーザーにはどんな選択肢があるのだろうか。

1. Windows 11への無償アップグレード

ひとつめは、手元のWindows 10 PCが仕様的にWindows 11の要件も満たしている場合。この場合は、Windows 11への無償アップグレードが可能だ。

ユーザーはマイクロソフトからWindows 11のインストールイメージをダウンロードして、USBメモリーやインストール用の光学ディスクメディアを作り、それを使ってWindows 11にアップグレード、またはクリーンインストールが可能だ。

いずれの場合でも、失われると困るデータがWindows 10システムと同じストレージに保存されているのなら、あらかじめバックアップをしておくのが無難だろう。

手元のPCがWindows 11の要件を満たしているかどうかは「PC正常性チェックアプリ」を使って確認できる。

2. 新しいWindows PCを購入する

もし、手元のPCがWindows 11の要件を満たしてなければ、そのPCに正規の方法でWindows 11をインストールすることはできない。したがって、新たにWindows 11に対応する(プリインストールされている)PCを入手する必要がある。

新品のWindows 11搭載PCを購入すれば、メーカー保証や店舗が提供する延長保証などを付与できるため、特にPCに詳しくないユーザーにはおすすめできる。

新品のPCは高額で手を出しにくいのであれば、中古やアウトレットのPCを購入するのも良いだろう。メーカーや店舗によるリファービッシュ(再生)品などは、新品同様とまではいかなくとも、状態も良好なものが多い。

3. マイクロソフトが提供する1年間の延長措置を利用する

もし、いまは新品のPCを買う金銭的な余裕がないけれど、来年には用意できるというのなら、来年までいまのWindows 10搭載PCを使い続けることもできなくはない。

マイクロソフトは、Windows 10 Extended Update(ESU)プログラムへの加入を条件に、ユーザーに対して1年間に限り、セキュリティアップデートの提供を延長する措置を用意している。

この措置は、当初はユーザーに30ドルの支払いを求めていた。だがその後、 Windowsバックアップを使用してWindows 10の設定をクラウドに同期すれば、無償で1年間の延長を認めるように条件を変更した。また、Microsoftアカウントにログインした状態でPCを使うことで貯められる、Microsoft Rewardsを1000ポイント支払うことでも、延長措置を受けられるようになった。

この方法はあくまで1年間限定の措置なので、結局、来年にはいまと同じ問題がやってくることに注意が必要だ。

4. Windows 11の要件を満たさなくても無理やりインストールする

もし、PCの仕組みに詳しく、トラブル対応スキルも人並み以上だと自信のあるユーザーなら、Windows 10のレジストリーを一部編集することで、TPMの要件を満たすように偽ったり、「Rufus」や、「4DDiG Partition Manager」と呼ばれるインストールメディア作成用の無料ツールを使って、Windows11の要件を回避しつつ手元のPCに同OSをインストールできる。

ただし、これらのツールは初心者でも使えるようになっているが、ある程度の専門用語、たとえばディスクのフォーマットやパーティション、ISOファイルといった言葉の意味がまったくわからないというレベルなら、この方法はあまりおすすめしない。

Rufusや4DDiG Partition Managerを使いたいと思ったのなら、Googleなどで検索すればいくつもその使い方を解説するサイトを見つけられるだろう。自身がわかりやすいと思うサイトでしっかり情報収集して、あくまで自己責任で作業するのが肝心だ。

5. そうだ、Macにしよう

この選択肢は2番目の項目と若干被るが、新しいPCを購入する際に、発想を変えてWindowsでなくアップルのMacに機種変更してしまおうというものだ。

そもそもWindowsだから、OSのアップグレードだけでこれほどまでに面倒な思いをしなければならないのであって、(設定によって)毎年macOSが自動的にアップグレードされるMacなら、このような心配は必要ない。

macOSにもサポート期限があり、発売後一定年数を経過した古いMac本体は最新のmacOSにアップグレードできなくなる。そうなる前に新しいMacに買い替える必要があるが、MacにはTimeMachineという、システム全体をHDDなどにバックアップする仕組みがOS標準で備わっているため、この機能を使って最新のバックアップを取っておけば、新しいMacに簡単に環境を復元できる。

また、「移行アシスタント」を使って古いMacから新しいMacにWi-FiやUSB Type-Cケーブル経由でインストール済みアプリ、ユーザーアカウント、ファイル、フォルダ、その他各種設定などを移行することも可能だ。

ちなみに、Windowsにもサードパーティー製のシステムバックアップソフトがあるが、TimeMachineに比べると手順がかなり煩雑になる。

5. 本当にPCは必要?

2025年の現在、ほとんどの人はスマートフォンを日常的に使っており、必要に応じてiPadなどのタブレットも持っていることだろう。

これらのスマートデバイスがあれば、ウェブ閲覧やメール、SNSのやりとり、動画サイトの視聴ができる。さらには、家計簿を付けたり、年賀状を作成し印刷したり、ネットバンキングでお金を動かしたりといったことまで行える。

それでも、日常生活においてPCが必要になる場面はあるだろうか?

もしないのであれば、無理をしてPCを買い替え続ける必要もないかもしれない。もちろん動画編集のように、スマートデバイスよりもPCと大画面モニターのほうが効率が上がる作業もある。しかし、その作業が必要になるのはどれぐらいの頻度か、よく考えて検討してみるのも良いかもしれない。

サポート終了後に使い続けるリスク

なお、何の対策もなしに10月14日以降もWindows 10を使い続けるのはおすすめしない。Nortonなどのセキュリティ対策ソフトはウイルスやマルウェアの検出と隔離を行うが、OSのセキュリティホールを塞ぐわけではない。

おそらく、セキュリティ対策ソフトは期限終了後も一定期間、ウィルス定義ファイルのアップデートを提供すると思われる。しかし、Windows自体の脆弱性を抱えたまま使うことになってしまうだろう。まだWindows 10を使っているユーザーは、期限までに対策を考えたいところだ。

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