米国以外の78か国で米国映画の興収1位を獲得

映画『F1』、全世界で初週末興収1.44億ドルを達成。アップルの劇場作品最高記録へ

Munenori Taniguchi

Image:Apple

アップルがブラッド・ピット主演で製作した映画『F1』が、劇場公開後初の週末における全世界興行収入1.44億ドルという、非常に好調な滑り出しを記録した。米国内での初週末興行収入は5560万ドルだ。

『トップガン マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキーがメガホンを取った本作は、米国だけでなくその他の世界78か国でも、この週末の米国映画興収1位を獲得し、これら国々で合計で8840万ドルを生み出している。

上記全世界興収のうち、IMAXでの興収は2770万ドル、うち1110万ドルが米国以外の英国、日本、韓国などの市場からのもので、この3か国では週末の興収総額の12%以上を占めたという。

近年の映画業界はシリーズものが猛威を振るっており、まったくの新規作品という意味でも『F1』の成果は大きい。

Apple TV+向けの作品ではこれまでにいくつもの賞を獲得してきたアップルとしても、昨年公開の『アーガイル』が失敗に終わり、劇場公開作品の製作規模を縮小すると伝えられていただけに、今回の『F1』の大ヒットは大きな意味を持ちそうだ。

Image:Apple

劇中でブラッド・ピットが乗っているのは、F1の下のカテゴリーとなるF2マシンをF1に見えるように改造したものだ。とはいえ、それでも時速300kmを超える速度が出る代物であり、しかも、ピット自身が実際にF1レース開催中のサーキットでマシンを運転して撮影もこなしているのだから、CGでは得られない迫力がある。

また近年、Nerflixが配信するF1ドキュメンタリー『Formula 1: 栄光のグランプリ(現題:Drive to Survive)』によってF1世界選手権そのものが世界的に人気を集めていることも、観客を劇場へ向かわせる要因のひとつになっているだろう。

映画『F1』のストーリーは、数十年前にF1から降りた、ブラッド・ピット演じるベテランレーサーのソニー・ヘイズが、有望ながら扱いの難しい新人ドライバーを手懐けるために、経営難のF1チームから現役復帰するという、いかにも映画的なもの。もし興味があるなら、その臨場感を最大限に感じられる大画面かつ音響の整った劇場で観るのが良いだろう。

Image:Warner Bros

ちなみに、2001年に劇場公開されたシルヴェスター・スタローン主演、レニー・ハーリン監督の『ドリヴン』は、ざっくりとしたあらすじだけで言えば、今回の『F1』によく似た内容だ。『ドリヴン』は制作当時、F1を題材として制作に入っていたが、諸事情により作中の舞台を米国のオープンホイールカテゴリーであるインディカーに変更して制作された。評価はそれほど高くはないものの『F1』を観て興味を持たれたなら、こちらも観てみると良いかもしれない。

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