けが人がなかったのが幸い
テスラModel 3が線路に進入し列車に接触する事故。ドライバーは「自動運転中だった」と主張

米ペンシルベニア州シンキングスプリングで、テスラModel 3が線路に進入し、やってきた列車に接触する事故を起こした。
Model 3には3人が搭乗していたが、列車が接近するまでに全員待避しており、けが人はなかった。だが、軌道にごく近い場所に停止したModel 3は、通りかかった列車と接触してドアミラーが脱落するなどした。
Model 3を運転していたドライバーは事故後、テスラ車が踏み切りから線路に進入したときは「self-driving mode(自動運転モード)」だったと主張し、Model 3が線路を道路と勘違いし、通常のルートであるかのように走行したと述べている。一方、事故後テスラ車の撤去にあたった地元消防当局の本部長は、「テスラ車が関係する事故はこれまでもあったが、事故発生時に車両が自動運転モードだったと報告した者は誰もいなかった」と地元テレビ局にコメントした。
テスラは、2016年以降に製造されたすべてのテスラ車には、ドライバーがハンドルを握り、常に周囲に注意を払う必要がない、「監視なしの自動運転」を可能にする機能を備えていると主張している(要ソフトウェアアップデート)。また、追加オプションとして最大1万5000ドルのFSD(Full-Self Driving)パッケージも販売しているが、2025年6月現在、いずれのオプションを搭載してもまだ、「監視なしの自動運転」は実現できていない。
今回の事故に関して、ドライバーが虚偽の主張をしている可能性も考えられなくはない。だが、過去にはFSDを使用中のテスラ車が、工事現場に置かれた障壁を乗り越えようとした事例も報告されており、今回もテスラ車がなんらかの想定外の動作をした可能性もゼロではない。
記事執筆時点で事故に関する調査は進行中だが、ペンシルベニア州では、自動運転で自動車を走らせることに関する具体的な法規制が整備されていない。そのため、地方検事はまず「自動運転で自動車を走らせることが認められない」とし、さらに車両が道路を外れて線路に進入したことは、法律に違反するとの見解を述べた。また、このような問題に対処する法整備に関して州議会議員が検討を始める必要があるとした。
ちなみに、テスラは今週末にも、テキサス州オースティンで完全自動運転による「ロボタクシー」サービスを開始することを予告している(延期の可能性もある)。テスラのロボタクシーサービスはジオフェンスを使用し、限られたエリア内でのみ完全に無人で走行が可能になる。