スイッチ2の粗利率は低いとのこと

任天堂、Switch 2の初年度目標は1500万台。発売初期に半分売り切る?

多根清史

Image:任天堂

任天堂は5月8日、2025年3月期の決算を発表するとともに、「Nintendo Switch 2」(以下「スイッチ2」)に関する販売予想を明らかにした。

まず、2025年3月期(2024年4月~2025年3月)の連結業績は、大幅な減収減益となった。売上高は1兆1649億円で前年同期比30.3%減、営業利益は2825億円で46.6%減、当期純利益は2788億円で43.2%減という結果だった。主な要因として、「Nintendo Switch」(以下、スイッチ)の販売台数が前年同期比で約3割減少したことや、ソフトウェア販売本数が約2割減少したことが挙げられる。

一方で、2026年3月期(2025年4月~2026年3月)の連結業績予想は、大幅な増収増益を見込んでいる。売上高は1兆9000億円で前年同期比63.1%増、営業利益は3200億円で13.3%増とされており、これは6月5日に発売予定のスイッチ2の販売が寄与すると見込まれているためだ。

ただし、売上高が大幅に伸びる一方で、営業利益の増加率は小さい。この点について古川俊太郎社長は「スイッチ2はスイッチに比べて粗利率が低い」と明言しており、スイッチ2の部品コストが高いこと、さらには「赤字覚悟」とも報じられていることを裏付けている。

なぜ、そこまで価格を抑えているのか。そのヒントは、古川社長が「スイッチ2の立ち上げ、ハードの早期普及が最優先事項」と述べ、広告・宣伝費を増やす方針を示した点にある。つまり、ハードウェアで利益を出すことよりも、まずは(比較的)低価格による迅速な普及を重視しているようだ。

任天堂は2026年3月期におけるスイッチ2の販売予想として、ハードウェア1500万台、ソフトウェア4500万本を掲げている。ハードウェアの数字は、初代スイッチの発売初年度販売台数(約1505万台)とほぼ同じだ。ただし、初代は3月発売、スイッチ2は6月発売と3か月の差があり、単純比較はできない。

それでも、スイッチ2については「発売初日に最大800万台を用意する」というアナリスト予測もあり、1500万台という目標はやや控えめにも見える。仮に初年度販売台数が1500万台なら、その半分をローンチ時点で売り切ることになる計算だ。

古川社長は「関税の前提が大きく変わる場合、多面的に考慮したうえで、どのような価格調整を行うかを検討し、実施していきたい」とも発言し、将来的にスイッチ2の値上げに踏み切る可能性を示唆している。

これに先立ち、任天堂は米トランプ政権による「相互関税」の発表を受け、米国でのスイッチ2予約注文を4月9日から24日に延期。本体価格は据え置いたものの、Joy-Conなどのアクセサリー類については5~10%の値上げを行っている。

これらを総合すると、任天堂はトランプ関税の影響が最小限に抑えられるローンチ時期にできるだけ多く売り切り、その後やむを得ず値上げに踏み切る可能性を見据えているとも考えられる。実際、2026年3月期の営業利益には、4月10日時点の税率が通期にわたり適用され続けることを前提に、数百億円規模のマイナス影響が織り込まれている。

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