5年以上前で数も少ないGPUでやり繰りを指示?
アップル「新Siri」今年秋に登場? AI開発の遅れは予算削減も一因か

アップルは「パーソナライズされたSiri」、すなわちユーザーの文脈を理解して自然に応答する刷新版の音声アシスタントを、今年(2025年)の秋にリリース予定だと報じられている。
The New York Timesは、「計画に詳しい3人の関係者」の証言をもとに、この見通しを伝えている。リニューアル版Siriには「リクエストに応じて写真を編集し、友人に送信できる」機能が搭載されるという。この機能は、2024年のWWDC(世界開発者会議)で発表され、もともとはiOS 18で提供される予定だった。
この秋のリリース計画は、これまで発信されてきた情報や噂の中でも最も早いタイミングである。アップル広報は2025年3月、Daring Fireballに寄せた声明において「来年(2026年)中」には展開する予定だと述べていた。一方で、同社の内情に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、「真に近代化された会話型Siri」の開発は簡単ではなく、一般公開は「せいぜい」2027年のiOS 20になるだろうと主張している。
Siriの新機能や独自AI「Apple Intelligence」の開発が遅れている背景には、社内の混乱やリーダーシップの問題があるとThe Informationは報じていた。今回のNYT報道では、このプロジェクトの初期のつまずきは2023年初頭に始まったとされている。
当時、AI開発責任者のジョン・ジャナンドレア氏は、GPU購入予算の増額をティム・クックCEOに要請した。クック氏はこれを了承したが、CFO(最高財務責任者)のルカ・マエストリ氏が予算を半分以下に削減したという。マエストリ氏は代わりに、5年以上前のGPUチップ5万個を効率よく使えとチームに指示したとされる。
この件に詳しい匿名の関係者は、当時マイクロソフト、アマゾン、Google、Metaといった競合企業が数十万個単位でチップを購入していたのに対し、アップルの保有数は「はるかに少なかった」と述べている。アップルの生成AI開発は、時期的に出遅れ、当初の予算も限られ、さらにリーダーシップも迷走するという “三重苦” に見舞われたのかもしれない。
- Source: The New York Times
- via: The Verge