故スティーブ・ジョブズの悲願
アップル、自社ブランドのテレビ製品を「再検討」している可能性
ここ最近、アップルが複数のスマートホーム製品を開発しているとの噂が相次いでいた。来年3月にはスマートホームディスプレイを発売し、近い将来にスマートカメラ市場に参入するという具合だ。
それに続き、「アップルブランドのテレビ開発」が再検討中だと米Bloombergが報じている。
アップルの未発表製品に詳しいMark Gurman記者は、一連のスマートホーム製品や噂のロボットアーム付き卓上ロボットが成功を収めた場合、テレビが今後リリースするスマートホーム製品の1つとなる可能性があると述べている。
まだ検討を始めたばかりのようで、実現するとしても発売は何年も先のことになりそうだ。しかし、アップルがテレビ機器の市場に直接参入する可能性が浮上したことは、非常に興味深い。現在、同社が販売しているテレビに最も近いデバイスは、ストリーミング機器のApple TVのみだ。
アップルブランドのテレビ製品が登場するとの噂は、今回が初めてではない。2009年~2011年にかけても、同社にはホームエンターテイメントを「ソフトウェアで差別化できる」強みがあるとして、繰り返し主張するアナリストもいた。
アップルが他のブランドとディスプレイの仕様や機能、価格設定でどのように競い合うのか、まだわからない。すでにLGやサムスンなどのスマートテレビはAirPlayやHomeKit、Apple TV+に対応済みだが、自社開発テレビはiPhoneやiPad、Macのエコシステムとより深く統合できるだろう。また、洗練されたデザインで差別化することもほぼ確実だ。
とはいえ、テレビ製品は利益率が低く、競争も激しい。かつてアップルはApple TVの廉価版としてHDMIに直接挿すドングル型製品を開発しながらも、利益率が低すぎるためキャンセルしたとの報道もあった。もしも参入するなら、ハイエンド製品となる可能性が高いだろう。
かつて、同社の共同創業者で元CEOのスティーブ・ジョブズ氏は、テレビを「シンプルでエレガントなものにする」つもりだとコメント。その一方で、当時はCOO(最高執行責任者)だった現CEOのティム・クック氏は「テレビ市場に参入することに興味はない」と述べていた。
それから10数年の歳月がたち、事情も変わっていることだろう。さらなる続報を待ちたいところだ。