「あれば便利」な製品として高すぎるとのこと

「M4 iPad Pro」、販売ペースが急激に落ち込んだとの指摘。特に13インチが高価すぎた?

Image:Wongsakorn Napaeng / shutterstock.com

最新鋭のM4チップと有機ELディスプレイの採用で全面刷新したiPad Proは、発売当初は順調に出荷台数を伸ばしていた。が、数か月経った現在は需要が急激に落ち込んでおり、主な原因は高すぎる価格の可能性があるとアナリストが分析している。

発売直後の5月末、「M4 iPad Pro」は快調な滑り出しが報告されており、ディスプレイ関連サプライチェーン専門アナリストのRoss Young氏も楽観的な見通しを述べていた

ここに来て、Young氏は軌道修正している。当初の予想では、2024年内のM4 iPad Pro向け有機ELパネル出荷は1000万枚に達する可能性があったという。が、第3四半期の低迷と第4四半期の予想を考慮に入れると、実際の数字は700万枚にわずかに届かないかもしれないとのことだ。

そのなかで、もっぱら13インチモデルが販売減の主な要因になっているという。これは、特に意外なことではないだろう。理由の1つに挙げられているのは、小さな11インチモデルは前機種が液晶ディスプレイであり、有機ELパネルへの移行が非常に魅力的だが、13インチは高品質なミニLEDバックライト画面からの飛躍は比較的小さいことだ。

より大きな理由として指摘されているのは、価格である。11インチの米国価格は999ドル~だが、13インチは1299ドル~である。多くのユーザーにとって、iPadとして1000ドル以上は高すぎるというのだ。

技術的に見れば、最新iPad Proは大きな進歩を遂げてた。Macに先がけてM4チップを搭載し、アップルいわく「世界で最も先進的なディスプレイ」を搭載し、同社の製品史上“最薄”を実現している。

これらのアップグレードは素晴らしいものだが、ほとんどのユーザーにとってiPadは依然として「あれば便利」な程度の製品に過ぎないとYoung氏は指摘している。iPhoneやMacほど生活や仕事に必須の製品ではないというわけだ。

仮にiPadをノートPC代わりのメインマシンとして使うとしても、Magic KeyboardやApple Pencil Proを追加で買い求める必要がある。トータルで見れば、構成によっては「MacBook Pro」よりも高くつくことさえある。

今後1~2年のうちに、「有機EL版iPad Air」が発売されるとのサプライチェーン情報も相次いでいた。が、有機EL版iPad Proの販売が低迷しているため、それは1年以上遅れる可能性があるとYoung氏は懸念を表明している。

その一方、Young氏は「有機EL版MacBook」については楽観的なままだ。以前、同氏は14インチ/16インチMacBook Proモデルが早ければ2026年に有機ELに切り替わると予測していたが、最新報告でも有機ELノートPCの需要はタブレットよりも依然として強いと予想していると述べ、PCメーカーの有機ELディスプレイ採用が増えていることを指摘している。

iPad Proと同じ有機EL技術が使われるなら、やはりMacBook Proもより高価になるだろう。もっとも、有機ELは液晶よりも電力効率が高いためバッテリー持続時間も向上し、ひいては薄型化にも繋がるため、ノートPCにはタブレットよりも恩恵が大きそうではある。

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