ただしディスプレイなし、真のARメガネは棚上げ

アップル、スマートグラスを開発中?“Apple Visionのコスパ機”は2025年発売か

Image:TimeStopper69/Shutterstock

アップルの空間コンピュータ「Apple Vision Pro」は今年初めに米国で、6月には日本など世界各国で発売されたが、その後に公式の動きは見られない。本製品を手がけた開発グループは、より安価なApple Visionヘッドセット、第2世代のApple Vision Pro、そしてスマートグラスに取り組んでいると報じられている。

これらはBloombergのMark Gurman記者が、ニュースレター「Power On」の購読者限定コンテンツで述べていることだ。まず、初代Vision Pro発売前から第2世代モデルおよび初代の低コスト版の開発が進んでいたとの噂話を再確認している

初代Vision Proは昨年のWWDC基調講演で発表され、2月に米国で発売された直後の反響は大きかった。が、まもなく返品が相次ぎ、その20~30%が「正しい使い方が分からなかった」との報告もあった

また発売月の出荷台数は20万~25万台と見られており、市場予想を上回っていたものの、ニッチ市場の域を出ていない。そのネックとなっているのは、日本では60万円近い(3499ドル)高価格だろう。


アップルは売上の低迷にやる気を削がれておらず、安価なVisionヘッドセットを「おそらく、早ければ来年(2025年)にも」発売する予定だという。また第2世代Vision Proの開発は一時棚上げされたとの報道もあったが、Gurman氏は「まだロードマップに載っている」として否定的だ。

かたや廉価モデルについては、Mac用チップに替えてiPhoneチップを搭載、ヘッドセットの外側に着用者の目を表示するEyesightディスプレイを削除、パススルーの品質を下げる等の予想がある。どれを削るにせよ、価格が1500ドルを下回らなければ「おそらくニッチな製品のまま」だとGurman氏はいう。

ちなみにMetaのQuest 2は2022年6月時点で累計販売台数が約1500万台と推定され、これまでで最も成功したVRヘッドセットだと評されていた。Meta Quest 3も少なくとも100万台を超えたとみられているが、価格は499ドルで、Vision Proの7分の1である。

2つの新型Visonヘッドセットに加え、Vison開発グループはRay-Ban Metaスマートグラスのようなディスプレイのない製品を模索しているとGurman氏は付け加えている。これは2月に述べたことの繰り返しとなるが、「真のARメガネ」は技術的な課題のため棚上げされているとのことだ。

とはいえ、Ray-Ban Metaスマートグラスは軽量かつ329ドルという安価さながら、外出先で簡単に写真やビデオを撮ることができ、音声アシスタントに話しかけたり、カメラ映像をMeta AIが解析して身の回りの質問に答えることもできる。アップルがこうした製品を発売すれば、新たな市場が開拓できるかもしれない。

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