有料ユーザーのみ使用できるAIチャットボット

イーロン・マスクに「Grokによる大統領選に関する嘘情報拡散」停止を要求、米5州の州務長官が発表

Image:xAI

米国の州務長官5人は、X(Twitter)のAIチャットボットGrokに対し、カマラ・ハリス副大統領に関する偽情報の拡散を即時にやめるよう求める公開書簡を発表した。

書簡に署名したミネソタ、ペンシルベニア、ワシントン、ミシガン、ニューメキシコの各州務長官は、ハリス氏には2024年の米大統領選に立候補する資格がないとする誤った情報を示したとして、XのAIチャットボットを非難している。

Grokは7月21日にジョー・バイデン大統領が大統領選への立候補を断念すると発表してまもなく、カマラ・ハリス副大統領の立候補資格に冠する質問に対し、9つの州(アラバマ、インディアナ、ミシガン、ミネソタ、ニューメキシコ、オハイオ、ペンシルバニア、テキサス、ワシントン)で、すでに投票期限が過ぎたとする誤情報を回答し始めたとされている。

実際に期限は過ぎていないにもかかわらず、Grokの回答を信じた人々によって拡散された誤情報は、最終的に何百万人ものXユーザーのタイムラインに表示されることとなった。

州務長官らは公開書簡に「GrokはX PremiumとPremium+の加入者のみが利用可能で、その回答についてはユーザーに情報を確認するよう求める免責事項が含まれている。だが、投票期限に関する虚偽の情報は複数の投稿で捕捉され、繰り返しシェアされている」と述べている。

Xは、現オーナーのイーロン・マスク氏が買収して以来、信頼と安全性担当エンジニアの8割を削減した。マスク氏は2023年春にモデレーションを担当する大勢の契約社員の代わりに、独自に500人規模の社内モデレーターチームをテキサス州オースティンに配置すると述べていたが、約1年が過ぎた2024年初頭には、Bloombergがこのセンターに所属する人員は当初の発言よりもはるかに少ない100人程度になると報じている。

XのCEOは先週金曜日、ハリス氏の動画の音声をAIで改ざんし、誤った内容の発言をしているように見せかける動画を注釈を付けずにシェアし、自らXのガイドラインに違反する投稿を行っていたことが指摘されている。この投稿は1億人以上が目にしたという。

これに対しマスク氏は、この動画は風刺を意図したものであり、パロディは犯罪ではないと主張した。

マスク氏は先週も、英国で少女3人が殺害されたのち、その犯人に関する誤情報が広まったせいで起こった暴動に関し「内戦は避けられない」と煽動するような発言をXに投稿し、英国政府から厳しく非難された。ちなみに、英Independent紙は、マスク氏が欧州で内戦が勃発しつつあると主張するのは昨年10月以来6度目だと報じている。

関連キーワード: