ネットワークケーブルを抱き合わせ販売してる疑いも

NVIDIA、AMDなどライバルからAIチップを買う顧客に圧力?米司法省が調査中か

Image:Below the Sky/Shutterstock

半導体大手NVIDIAは、ここ数年の生成AIブームを追い風に時価総額でマイクロソフトを追い抜き、世界で最も価値ある企業となっていた。今や同社のAIチップなくして、AIビジネスを続けることも立ち上げることも困難となっている。

その市場支配力を乱用して顧客に圧力をかけているとの苦情を受けて、米司法省が調査していると報じられている。

独自の情報源を持つニュースメディアThe Informationの報道によると、NVIDIAはAI製品に関して様々な反競争的行為を行っているという。顧客がAMDなどライバルからAIチップを購入した場合は値上げあるいは出荷を止めると脅す、AI業界での影響力を高めることのみを目的に新興企業を買収する、AI/GPU製品にネットワークケーブルなどを抱き合わせ販売するというものだ。

NVIDIAにとってAIアクセラレータにおける主な競合企業はAMDであり、その矛先も同社に向けられているようだ。インテルも競合する位置づけにあるが、対抗AIアクセラレータ「Gaudi」の本格的な出荷は第3四半期(7~9月期)からの見通しだ。

今回の報道に対してNVIDIAは、「数十年にわたる投資と革新に基づいて競争している」として、あらゆる法律を遵守しているとともに、顧客がAIチップの供給元を自由に選べるようにしていると付け加えている。

The Information報道によれば、値上げ圧力はネットワーク機器にも及んでいるとのこと。顧客がライバル企業からAIチップを購入した場合、それらにも高い価格を請求したかどうかをDOJが調査していると伝えている。

米政府とNVIDIAとのトラブルは、司法省が同社によるイスラエルのAIソフトウェア開発会社Run:aiの買収についても調査しているとの報道に続くものだ。Politcoの記事によると、AI処理に必要なGPUの数を減らせる仮想化ソフトを提供する企業を買収することで、支配的な地位を築こうとしていないか調査しているとのこと。

こちらに対してNVIDIAは、「ベンチマークの結果や顧客にとっての価値にも表れているように、実力で勝負する」と述べつつ、「あらゆる業界や市場で意欲的なイノベーターを支援し続け、規制当局が必要とする情報を喜んで提供する」との声明を出している。

NVIDIAのAIやGPU製品が実力でライバルを突き放していることは、純然たる事実だ。それだけに、AIチップでの圧倒的優位を振りかざし、抱き合わせ販売など王者の矜持に傷を付ける行いはあってはならないだろう。

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