変わる必要がなかったのかも
30年以上変わらないWindowsのフォーマットツールについて開発者が語る
Windowsの最新バージョンは2021年にリリースされたWindows 11だが、実際にはWindowsの11番目のバージョンではない。Windowsのバージョンは初代からこれまでのあいだに約20もあり、多くの変更が加えられてきた。
しかし、そのごく初期からまったく変わっていないものもある。マイクロソフトでかつて開発に携わったデイブ・プラマー氏は、そのひとつについてX(Twitter)への投稿で語った。
プラマー氏は、90年代はじめから約10年にわたってマイクロソフトに在籍し、タスクマネージャーやZip形式の圧縮ファイルへの対応、さらにはピンボールゲームまで、Windowsを長く使ってきた人ならすぐに思い出せる機能の数々の開発に明け暮れたという。
そのなかのひとつがディスクフォーマッターだ。90年代当時はまだまだフロッピーディスクが当たり前に使われ、ハードディスクが一般に普及し始めた時期だ。いずれも新品状態から使えるようにするには、最初にフォーマットをするのがあたりまえだった。
プラマーによれば、Windows 11のフォーマットツールは、いまも彼が90年代に設計したものがベースのままだという。
プラマー氏がマイクロソフト在籍中もっとも忙しかった時期は1994年ごろで、当時同社はすべてのWindows 95システムをWindows NTシステムに移行しようとしていた。そしてWindodws 95のフォーマットツールをWindows NTに移植するという小さな仕事は、その後30年がすぎた現在も結果的にその形を残すことになったという。
このフォーマットツールをデザインするに当たり、ファイルシステム、ラベル、クラスタサイズ、圧縮など、処理に必要な機能をメモに書き出し、Visual C++ 2.0でこれらのオプションをシンプルに並べたGUIを作った。これがそのまま、われわれのよく知るフォーマットツールになった。
また、プラマー氏は、FATボリュームの制限容量を決める必要があったと述べている。彼は「どの程度の『クラスター スラック』が多すぎるかを決定する必要があり」その結果FATの最大容量を32GBに設定することにした。この制限はWindowsのフォーマットツールに長く引き継がれることになった。
プラマー氏は、誰かがフォーマットツールをきちんと作り直すまでの、一時的なつなぎになると思っていた。しかし、当時のマイクロソフトは2001年のWindows XPリリースよりも前からWindows Vistaの開発を始め、それを完成させるのに2006年まで歳月を要した。そしてフォーマットツールなど一部のユーティリティは必要最小限の修正のみで使われ続けることになった。
最新バージョンのWindowsで見ることができる、古来のWindows UIは他にもいくつかあるが、それらは「機能しているのなら大きく変える必要はない」という考え方を示すものと言えるかもしれない。
- Source: Dave W Plumme(X)
- via: The Verge ExtremeTech