Spotifyは「完全な茶番劇」と非難

アップルがEUで課す「コア技術料」、無料アプリ開発者を破産に追い込む可能性

Image:mundissima/Shutterstock.com

先週アップルは、欧州連合(EU)のアプリ開発者は新たなビジネス条件を選んだ場合、100万インストール以上の1件ごとに0.5ユーロ(約80円)の「コア技術料」を課すと発表した

アップルは99%の開発者が現在よりも支払いが少なくなると主張していたが、無料アプリは天文学的な支払いを余儀なくされる可能性があると識者が指摘している。

著名開発者のSteve Troughton-Smith氏は、たとえば年間200万回もの「初回インストール」された無料アプリやフリーミアム(基本無料のアプリ内課金)アプリは、毎月推定4万5290ドル(約670万円)ものコア技術料が発生すると試算している。

これは無料アプリにとっては持続不可能なモデルであり、フリーミアムが収支を合わせるには少なくとも0.50ユーロの収益を上げる必要がある。通常、後者は課金ユーザーがごく一部に限られるため、収益をはるかに上回る負債を抱える可能性があるだろう。

しかし、新たな条件を選ばずに、現在のビジネス条件に踏み止まることもできる。その場合、今までと何も変わらず、収益ベースで15~30%の手数料を払い続けることになる。ユーザーからの支払いがない限り、アップルへの手数料も発生しない。

コア技術料は、代替アプリストアや代替決済システムを使える新条件を選んだ開発者に適用される。App Storeの場合、30%の手数料は17%に、15%の手数料は10%に引き下げられる代わりに、100万インストール以上ではコア技術料が課される仕組みだ。

ただし、政府機関や非営利団体、認定教育機関に対しては、コア技術料は免除される。

この新ビジネス条件は、Spotifyのような数百万人ものユーザーを擁するアプリには法外に高額になる可能性がある。1000万回の初回インストールにより1000万ドルの売上があった場合は、毎月50万ドル近くをアップルに支払う必要がある。

実際、さっそくSpotifyは激しい反発を表明。アップルの提示した新条件を「コンプライアンスと譲歩という偽りの口実のもと、完全な茶番劇」「法律遵守を装って新たな税金を作り出した」と非難している。

またSpotifyやEpic Gamesなどが参加する「アプリ公平性のための連合」(Coalition for App Fairness/CAF)も「アップルの計画は、欧州委員会と彼らが代表する何百万人もの欧州消費者に対する恥知らずな侮辱」との声明を出している

こうしたアプリストア関連の変更は、3月初めに配信されるiOS 17.4で利用可能となる予定だ。アップルとSpotifyほかハイテク大手とのストア手数料をめぐる対立は、鎮まるどころか激化するかもしれない。

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