月の極地域では2週間続く夜間も動き続ける必要

Astrolabの月面車、Starshipで2026年に打ち上げへ

Image:Astrolab

航空宇宙ベンチャーのAstrolabは、現在開発中の月面探査ローバーを月に送るため、早ければ2026年半ばに打上げ予定となるSpaceXの大型ロケットStarshipを予約したと発表した。運賃がいくらだったかは非公開。

Astrolabが開発する月面ローバーは「Flexible Logistics and Exploration rover」、略してFLEXと呼ばれており、月の南極付近で氷などを探す有人ミッションにおいて、飛行士の移動手段になる。Astrolab創業者のジャレット・マシューズ氏は、このローバーには1年あたり数千kmを走行する能力があるため、月面のどこへでも移動できるが、主たる活動の場になる南極付近に最適化していると説明している。

Astrolabは、1年ほど前にFLEXの開発計画を発表した。その後、完全に機能するプロトタイプをカリフォルニア州の砂漠地帯に持ち込み、月面を想定したテストも繰り返し実施している。マシューズ氏は、現在は設計開発の再評価を行っている段階であり、特に科学機器やペイロードを展開するための6DoF(6自由度)のロボットアームについて作業の重点を置いているという。またFLEXはモジュール設計を取り込んでおり、さまざまな用途に適用可能だ。

なおNASAは、月面探査車(LTV)に関する提案をコンペ型式でこの5月から募集する予定。採用されれば、2020年代後半を予定する “Artemis 5” ミッションで月へと送られ、飛行士が月面で移動に使用したり、ロボット制御による作業に使われることになる。LTVの開発については、ロッキード・マーティンやノースロップ・グラマンといった大手企業も計画を発表しているが、Astrolabはそのなかでも「十分に力を発揮できる」と自信満々だ。

ただ、Astrolabにとって不確定な要素は、FLEXの開発資金だ。マシューズ氏は現在の資金調達額がどの程度あるのかを明らかにしていない。ただ、FLEXの使用を希望する顧客との契約を得ることで、必要な資金が準備可能になると考えており、「必ずしも追加の資金調達がなくとも、この計画を実行できると期待している」と述べている。とはいえ「もし投資家がわれわれの活動に興味を持ってくれるなら、喜んで話をする」と付け加えている。

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