月の肩越しに地球が見える
NASAのOrion宇宙船、月に130kmまで接近。フライバイ成功
11月16日に打ち上げられたNASAのアルテミス計画最初のミッション「Artemis I」で、Orion宇宙船が月へのフライバイを実行。月から約130kmの地点まで接近した。
このフライバイはミッションにおける大きな山場のひとつで、最接近時のOrion宇宙船の速度は4度のエンジン噴射を経て、約8083km/hにまで達していた。
NASAによると、Orion宇宙船には11月25日にも重要な燃料噴射を控えているとのこと。それはOrion宇宙船を月を周回するDRO(Distant Retrograde Orbit)に進路変更させる2つの作業のうちのひとつだ。Orion宇宙船はDROに入ると、1週間ほどそこに滞在し、誘導、ナビゲーション、通信、電力、熱制御といったシステムの数々をテストする。
なお、このDROでは月から1500~4万3000kmの距離を周回する。またその際、地球からの距離は約43万2193kmに達し、これまでアポロ13号が保持していた、有人飛行宇宙船として最も遠くに到達した記録である40万131kmを更新する予定だ。
なお、NASAは11月21日の時点で、Orion宇宙船が約1685kgの推進剤を使用したと述べている。これは予想されていた使用量より約34.5kg少ない。そのため、推進剤には余裕がある状態で今後のミッションに臨めるとのことだ。
ここまで順調なようにも見えるOrion宇宙船の航行だが、細かいトラブルは起こっている。
たとえば星追跡システムではRAMにエラーが頻発し、技術者は電源の再投入で対処した。また別のチームは宇宙船に電力を供給する8つのサービスモジュールのうちの 1つ、電力調整および配電ユニットにあるアンビリカルラッチング電流リミッターと呼ばれるパーツが、コマンド操作なしに勝手に動作した問題を調査中だ。ただし、これらの問題はクリティカルなものではなく、ミッションに影響はないとのこと。
なお、Orion宇宙船の地上への帰還12月11日に予定されている。