最終目標は「ARの日常への浸透」か

アップル製ARメガネの発売、2026年までずれ込む可能性

Image:Kaspars Grinvalds/Shutterstock.com

アップル初のAR/VRヘッドセットは2023年1月に発表される見通しだが、それ以上に注目を集めているのがメガネ型のARデバイス、いわゆる「アップルARメガネ」だろう。ヘッドセット製品はその大きさのため職場や家庭での運用に限られるが、メガネ型なら日常的に装着でき、ひいてはデジタル製品の主流に躍り出る可能性があるからだ。

そんなアップル製ARメガネの登場が「設計上の問題」から、2025年~2026年にずれ込むとのアナリスト予測が報じられている。

これはHaitong International Tech Researchのアナリスト、Jeff Pu氏が株式・金融ニュースメディアMarketWatchに送った電子メールだ。それによれば「設計上の問題から、ARメガネは2025年~2026年に延期されると予想している」とのことだ。つまり最大、あと4年はかかるというわけだ。

今年6月、Pu氏はアップルARメガネはデザイン開発に入り、今年中にはプロトタイプを完成させ、2024年後半に量産する予定だと述べていた。そこから、遅ければ2年も延期されることになる。

「設計上の問題」という表現は、ほぼ何も言っていないにも等しい。たとえばメガネの外観や長時間の装着に耐えうる軽さから、十分なバッテリー持ちを実現しつつ加熱を防ぐことなど、ありとあらゆることが含まれるからだ。

アップルARメガネについては、かつて有名アナリストMing-Chi Kuo氏が「早ければ2025年」と予測していたことがある 。その時点では「まだプロトタイプは存在しない」としていたことから、Pu氏の「2023年内にプロトタイプが完成」という情報が正しければ、着実に進捗はあるようだ。

2013年にGoogleのスマートグラス「Google Glass」が米国で発売されてから約10年、いまだに各社ともARメガネに実用性を持たせることに苦戦している。

たとえば「Nreal Air」はPCやスマートフォンに接続する形で小型化を実現したものの、ARコンテンツよりも「動画やWebサイトを大画面で見る」ことに重きが置かれている。またファーウェイの「Eyewear」は音声に特化したことで好評を得ているメガネ型デバイスだが、これは大型化・重量化の原因でもあるスクリーン部分を省略しており、ARからは遠ざかっている。

しかし、アップルのティム・クックCEOは事あるごとに、ARへの強い関心を表明している。それこそ「アップルの将来にとって決定的に重要」であり、「次の大きな出来事で、我々の生活全体に浸透していくもの」という具合だ。

その一方でクック氏は「メタバースは一般人が理解できないと思う」とも口にしていた。普通の人が日常の中で使いやすく、よって理解しやすいARメガネこそが、社運を賭けた究極の目標なのかもしれない。

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