光るアップルロゴが復活
タッチ対応「MacBook Pro」先行レビュー。初の有機ELと直感操作、その先にある革新性

アップルが11月6日に発売する「PROLED XDR搭載MacBook Pro」を試した。同日発売のM6搭載MacBook Proと、画質や使い勝手を比較する。試用機はいずれも14インチのスペースブラックで、PROLED XDR搭載モデルはM5 Maxのチップを選択したモデルだ。
MacBook Proだけでもバラエティに富む
2026年秋に出揃ったMacBook Proのラインナップを整理しよう。まず、PROLED XDRディスプレイを搭載するモデルは、Appleシリコンの「M5 Pro」と「M5 Max」が選べる。サイズは14インチと16インチの2種類。ベースラインの価格は499,800円(税込)からだ。
液晶のLiquid Retina XDRを搭載するモデルも2つのサイズがあるが、M6搭載のモデルのみ14インチに限定される。また、今年の春にアップルが発売したM5 Pro/M5 Maxのモデルは販売を継続する。こちらのベースライン価格は339,800円(税込)から。

OLEDのMacBook Proでは、最新のM6チップを選択できない。ただし、最新世代の標準チップであるM6と、プロ用途を想定して処理能力を高めたM5 Pro/M5 Maxでは担う役割が異なるため、世代番号だけで性能の優劣は判断できない。
つまり、高度な映像制作や大規模なデータ処理を支えるM5 Pro/M5 Maxは、プロフェッショナルの仕事道具として設計された本機にふさわしい選択といえるだろう。
カラーバリエーションには今回試用したスペースブラックのほか、定番のシルバーがある。端子数は共通で、USB-C形状の端子が3基、HDMI、SDXCカードスロット、ハイインピーダンス対応のヘッドホン端子、MagSafe 3を備える。M6はThunderbolt 4、M5 Pro/M5 Maxはさらに高速なThunderbolt 5に対応する。

MacBook初のOLED。深い黒と穏やかな色彩
液晶はバックライトの光を液晶で調節するのに対し、有機ELは画素自体が発光する。黒を表示する画素を消灯できるので、コントラストの豊かな映像は、より再現力が高い。スペック上のコントラスト比はPROLED XDRが1,000万対1、Liquid Retina XDRは100万対1だ。
同じ写真やビデオを並べると、PROLED XDRは暗部の黒が引き締まり、被写体の輪郭の先鋭感に富んでいる。HDRのピーク輝度はPROLED XDRが2000nits、Liquid Retina XDRが1,600nitsだが、実際の映像では大きな差を感じない。
液晶のLiquid Retina XDRも十分に明るく、色彩も力強く鮮やかだ。一方のPROLED XDRは穏やかで自然な色調のバランスに特長がある。

発光層を重ねるタンデムOLEDの採用に加え、駆動回路や材料、製造工程から均一性を追求した専用設計が、この表示を支えている。OLEDはバックライトが不要なので、パネルの薄型化にも有利だ。だが、実際には液晶のMacBook Proのパネルも十分に薄く、見比べても大きな差は感じない。
「タッチ操作」は新オプション
MacBookシリーズで初めて画面のタッチ操作に対応した。キーボードやトラックパッド、マウスとSiri AIの音声操作を補完する手段として、画面に表示されるアイコンなどに直接触れる操作が選べる。
OLEDのMacBook Proは、新設計のヒンジを採用している。実機を同じ場所に置き、力加減を揃えながらディスプレイの真ん中を指で押し込んでみると、ややOLEDのMacBook Proの方が抵抗感が強いようだ。画面をタッチした時の安定感がある。
タッチ操作を繰り返せば、ディスプレイに指紋が残る。アップルはOLEDのMacBook Proについて、指紋に対する耐性を持たせるコーティングも施したという。だが、今回試した標準ガラスのディスプレイでは指紋が付着するとそれなりにわかる。拭き取りながらきれいに使いたい。

MacBookシリーズとして、初めて通知やアプリの進行状況、再生操作などをリアルタイムに表示するDynamic Islandも載せた。アプリによる機能やサービスの稼働状況を知らせるライブアクティビティは、最大2件を同時に表示できる。
画面の上部中央を下向きに指でスワイプすると、Siri AIが起動する。音声でSiri AIにリクエストして、得られた情報をタッチ操作で選んだり、次の操作へスムーズにつなげられる。声とタッチを自然に組み合わせながら軽快に使えるアプリやサービスが、発売後次々に登場することを期待したい。

本体の開閉で変わらない内蔵スピーカーのサウンド
OLEDのMacBook Proは、同じ14インチの液晶のMacBook Proよりもコンパクトだ。縦横の幅が狭くなり、本体を閉じた時の厚さも薄くなっている。
質量はM6の1.55kgに対して、M5 Maxを搭載するOLEDのMacBook Proは約220g軽い。筆者も長くMacBook Proを使ってきたが、「Proは大きくて重い」という印象を覆すような軽快さを、新しいPROLED XDR搭載MacBook Proは実現している。天面には光るアップルロゴも復活した。

OLEDのMacBook Proが搭載する新しい6スピーカーオーディオシステムのサウンドも、筆者の期待を超えて高品位だった。
アップルによると、新設計のウーファーで「50%深い低音」を実現。トゥイーターのユニットも刷新し、音の広がりをコントロールしながら明瞭さを高めたという。Dolby Atmosによる空間オーディオにも対応する。
さらに本機では、ユーザーが内蔵スピーカーで長時間、心地よくリスニングが楽しめるよう独自のチューニングを行っている。MacBook ProをApple Studio Displayのような外付けディスプレイに接続すると、本体を閉じた状態でもMacBook Proの内蔵スピーカーによるサウンドが楽しめる。
液晶のMacBook Proは本体を閉じるとボーカルがややこもるのに対して、OLEDのMacBook Proは驚くほど声がクリアなままだ。開いたときとほぼ変わらない音のバランスと定位、音場の広がりが保たれる。開閉状態に応じてソフトウェアが自動で制御を切り替えるため、ユーザーが設定を変更する必要はない。

外付けディスプレイにMacBook Proを繋いで使うユーザーは、音楽リスニングはもちろん動画や音楽素材の編集時にも本体の開閉状態で「変わらないサウンド」を実現しているメリットが得られそうだ。
価格と実用性を重視するならば、液晶のLiquid Retina XDRを搭載するM6モデルは有力な選択肢だ。一方、PROLED XDRを搭載するMacBook Proは、画質やタッチ操作、ポータビリティに加えて、据え置きで使う際のサウンドまで磨きあげている。
ベースラインで499,800円(税込)からと、フラグシップらしい高価格帯のモデルではあるが、この革新的なMacBook Proに一人でも多くの人が触れる機会が広がることを期待したい。
