一時はテイラー・スウィフトの8.7倍も再生していました

AI楽曲をボットで再生、音楽ストリーミングから7年にわたり収入得ていた男に懲役1年半の判決

Munenori Taniguchi

Image:Stas Malyarevsky / Shutterstock.com

音楽ストリーミングプラットフォームやミュージシャンから著作権使用料を詐取していたとして2024年に逮捕されたノースカロライナ州の男性が、電信詐欺共謀罪で懲役18か月およびその後2年間の保護観察処分の判決を言い渡された。これは、ストリーミング詐欺に関する史上初の刑事事件となった。

マイケル・スミス被告は2017年から2024年にかけて、Amazon Music、Apple Music、Spotify、YouTube Musicなどの音楽ストリーミングプラットフォームに数千ものボットアカウントを作成し、そのボットを使って自らアップロードしたAI生成楽曲を再生し、ロイヤリティ収入を得ていたという。

当初、スミス被告は自分が権利を持つと主張する楽曲を複数の音楽ストリーミングプラットフォームにアップロードし、それらの楽曲を、ボットと呼ばれる楽曲自動再生プログラムを用いて継続的に再生させた。

しかしそのままでは、特定の楽曲における異常なストリーミング数の増加により、不正行為が発覚するおそれもあった。そこでスミス被告は、2人の共謀者(1人はAI音楽生成企業のCEO、もう1人は音楽プロモーターと報告書には記されている)とともに、「不正防止ポリシーを回避するため」大量のAI楽曲を生成して数千のアカウントにアップロード、再生を分散させた。

そして最終的にスミス被告が数千のアカウントでアップロードした楽曲は「数十万曲」という規模になった。不正行為の疑いをかけられないようにするため、ボットは特定の楽曲に集中しないようにしつつ、それらの楽曲を自動再生していたという。

そうして、スミス被告は2024年に逮捕されるまでの7年間、この計画を発覚することなく続けることに成功していた。しかし、2023年4月の記録では、スミスが関わるAI楽曲の再生数は同月に8090万回も再生されていた。これは同月のテイラー・スウィフトの全楽曲の再生回数930万回を大きく上回る再生回数だった。

ボットを用いて再生回数を水増しする詐欺行為は、音楽ストリーミング業界にとって長年の問題だ。生成AIの普及は、偽の楽曲を簡単に作成できるようにしただけでなく、それらの楽曲を繰り返し再生するボットネットワークの構築も簡単にしている。

全米レコード協会(RIAA)は、スミス被告に下された判決に関する声明で「ストリーミング詐欺はクリエイターに損害を与え、ファンを欺く行為だ。裁判所がこの有害な行為の重大性、そして本物のアーティストや作詞作曲家、そのレーベルパートナーから不当に得られた利益を認めてくれたことを評価する」と述べている。

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