国際的にAIスマートグラスへの反発は広がりつつあり

AIスマートグラス、ノルウェーが一時禁止へ。公園や学校、病院などでの使用が対象になる可能性

多根清史

Image:Yuriy Golub/Shutterstock.com

近年スマートグラスをめぐっては、とくにカメラ内蔵モデルに重大なプライバシー上の懸念が寄せられている。周囲の人々に気づかれないまま写真を撮影したり動画を録画したり、会話を録音したり、それらをSNSに投稿したりするおそれがあるためだ。

そうした懸念を受け、ノルウェー政府がカメラや録音機能を備えたAIスマートグラスについて、一部の場所での使用を一時的に禁じる法案を議会へ「できるだけ早く」提出する方針を明らかにしたと、AP NewsやReutersが報じている。先月初め、同政府がカメラ付きスマートグラスに対して「より厳格な規制」を求める方針を発表したことに続く動きである。

政府は声明で、規制が公園やビーチ、博物館、ショッピングセンター、イベント会場など、公共の場に適用される可能性があるとしている。また、学校、遊び場、青少年クラブのほか、医師の診療所、プール、更衣室のあるジムなど、プライバシーへの配慮がとくに求められる場所も対象となりうるという。

ただし、全面的な禁止は想定しておらず、私的な使用や、他人が同意なく撮影されるリスクのない場所での使用は引き続き認められるという。

さらに、規制対象となる機器の範囲についても検討中である。カメラと録音機能を備えたスマートグラスに限定するのか、AI連携機器や、カメラ・録音・AIを内蔵した身体装着型デバイス全般にまで広げるのかは、今後詰めていく方針だ。

一方で、「社会的に弱い立場にある人々」や「社会的に有益なスマートグラスの使用」を例外として認めることも検討されている。一時的な禁止措置を設けることで、その間に対象デバイスの範囲や恒久的な規制の必要性について議論を進める考えだ。

こうしたスマートグラスに対する警戒や規制の動きは国際的にも広がりつつある。たとえば米カリフォルニア州では、診察室や更衣室など、一般に私的とみなされる場所で、相手の同意なくスマートグラスなどのウェアラブル録画デバイスを使って録画する行為に罰則を設ける法案が提出された。もっとも、知事が拒否権を行使したため、成立には至らなかった。

また、オランダのメガネ小売チェーンHans Andersは、プライバシーへの懸念を理由に、オランダとベルギーでRay-Ban Metaの販売を一時停止した。英国の映画館業界団体UK Cinema Associationも8月、プライバシー保護や映画の海賊版対策を理由に、カメラ搭載スマートグラスの着用を禁止・制限する映画館が増えていると表明した。

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