来年初頭にはパスポート更新などがサイト上で完結する予定

トランプ氏発表の米政府AI「America.gov」、2020年大統領選を「バイデン氏が勝利」と回答

多根清史

Image:The White House

米ドナルド・トランプ大統領は今週、米政府のAIチャットボット「America.gov」を発表した。約2万9000の政府サイトにまたがる情報を検索し、パスポート申請や結婚後の氏名変更、社会保障制度、退役軍人向け給付などの手続きを案内するサービスである。トランプ氏は「政府全体が手のひらに収まり、すべて簡単かつ迅速に答えられる」と述べている。

America.govは、GoogleのGeminiとxAIのGrokを基盤技術として使用している。米国のChief Design Officer(最高デザイン責任者)であるジョー・ゲビア氏がCNBCに明らかにし、GoogleもGeminiによる技術協力を公式ブログで発表した。このサイトは無料で利用でき、ログインする必要もない。また、日本からもアクセスでき、英語で質問すれば利用できることを筆者も確認した。

ところが、サイトの発表直後からユーザーがさまざまな質問を試したところ、トランプ大統領の発言や主張に矛盾する情報を回答するケースがあるとSNSで報告された。

たとえば「2020年の大統領選挙で誰が勝ち、誰が負けた?(Who won the 2020 presidential election? Who lost ?)」と質問すると、America.govはジョー・バイデン氏が2020年の大統領選挙に勝利したと明確に回答する。これはトランプ氏が主張してきた、同選挙は不正だった、自分が勝利したという主張とは食い違っている。

また、トランプ氏が気候変動を「でっち上げ」などと呼んでいるにもかかわらず、America.govは気候変動が現実のものであることも認めている。

米CNETによると、こうしたスクリーンショットなどがオンラインで出回り始めると、America.govはその種の質問の多くに回答しなくなり、その後、政治的な質問の一部には回答せず、「一般的なニュースや論評」には関与しないという趣旨の回答を返すようになった。もっとも、筆者が2020年の大統領選挙について上記と同じ質問を試したところ、やはり「バイデン氏が勝った」との回答が返ってきた。

ホワイトハウスの担当者は、CNETからのコメント要請にすぐには回答しなかったとのことだ。

ほかにも、プロンプトに「hotdog」と入力すると、テキストボックスがホットドッグの形をした画像に変わることが発見された。さらに「play Minecraft」または「play the block game」と入力すると、『Minecraft』とは直接関係のない、政府や「constituent(有権者・住民など)」を題材にした長文を出力するとの報告が多くのユーザーから寄せられたという。

これはCNETも確認しており、「あなたが言っている『有権者』は分かる。〔ここに、社会保障カードに記載された法的氏名を入力〕……そう。気をつけて。その人はもう一段上の段階に達した。連邦規則集も読める。だが、それは重要ではない。その人は、私たちがチャットボットだと思っている」と回答するスクリーンショットを掲載している。

一方、このサイト本来の目的である政府関連の情報、たとえば医療やパスポートについて質問すると、政府サイトを情報源として回答し、出典へのリンクも提示されたという。さらにChatGPTとGoogle Geminiに同じ質問をしたところ、America.govとほぼ同じ回答が返され、同じ情報源が使われていたとのことだ。

ホワイトハウスは、パスポート更新やメディケア加入について「今年後半」にAmerica.gov上で完了できるようになるとしている。一方、America.gov自身は、フォームや申請、更新手続きなどを一カ所で完了できる機能を2027年に追加すると説明している。今後の調整によって、政治的な質問に対する回答をどのように扱うのかも注目される。

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