は0.158。参考:現行プリウスは0.27

フォルクスワーゲン、Cd値0.158の超空力・超高効率EVを発表。時速80km以上で効率30%向上

Munenori Taniguchi

Image:Volkswagen

独フォルクスワーゲン(VW)は「世界で最も効率的な市販車に近い」とうたう電気自動車『Mission Efficiency』プロトタイプを発表した。公道走行可能な自動車としては驚異的な空気抵抗係数(Cd値)0.158を達成し、一定速度での走行なら100kmあたりわずか6.48kWhの消費電力量で走破するとのことだ。

2013年、VWはわずか1Lの軽油で100km走行するとうたう超低燃費ディーゼルハイブリッド車XL1を発売した。

XL1は2人乗りで、前方から後方に向かって車幅が狭まっていく涙滴型ボディによって、超低燃費を実現していた。ただ、このクルマは当時の東京モーターショーに参考出品こそされたものの、残念ながら日本市場に正規輸入されることなく、250台の限定数を生産して販売を終了した。

今回発表されたMission Efficiencyは、その涙滴型ボディにXL1の面影を色濃く残すものの、内部にはID. Poloのプラットフォームや駆動システムを採用する電気自動車となっている。ただ、XL1が2人乗りだったのに対し、Mission Efficiencyは定員が4人に増えているため、後方へのボディの絞り込みはXL1ほどではない。

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とはいえ、0.158Cdという空気抵抗係数は、現在の市販車のなかで最も優れているとされるLucid Airの0.197Cdを大幅に上回るものだ。後輪をカバーで隠し、アンダーボディも完全に覆うことで空気の流れをスムーズに保ち、フレームレスウィンドウと隠しドアハンドルを採用したことも、さらに空気抵抗を低減させている。もちろん、前面投影面積を約2.08平方メートルに抑えたことも功を奏しているはずだ。

この徹底した空気抵抗低減により、Mission Efficiencyのエネルギー消費量は80km/hを超える速度では、標準バージョンのID. Poloよりも 30% 以上少なくなります。140 km/h での Mission Efficiency のエネルギー消費量は、80km/hで走行する際にID. Polo標準バージョンより30%以上少なくなり、140km/hで走行時はID. Poloが100km/hで走るときとほぼ同じ程度の消費量になるとVWは述べている。

なお、ルーフには太陽電池が装備されており、天候が良い昼間にはわずかながらバッテリーに電力を補充することも可能だ。VWの説明によると季節、地域、天候にもよるものの、この370Wの太陽光発電システムにより、実際の航続距離を1日あたり最大30km延長できるとのことだ。

Image:Volkswagen

パワートレインがID.Polo由来であるにもかかわらず、これほどまでの超高効率を極めている理由のひとつに、リアに搭載した電気機械式リアブレーキシステムの採用がある。このシステムは、ブレーキディスクの摩擦を減らして損失を削減しつつ、ブレーキラインとブレーキフルードの一部をなくして軽量化も実現、さらに可変制動力配分も可能としている。このブレーキシステムにより、Mission Efficiencyはバッテリーへのエネルギー回生性能がさらに向上し、高いコーナリング時の安定性も手に入れた。

もうひとつの重要なポイントとして、VWは自動車が空力性能を高めていくと突き当たるタイヤとホイールの空気抵抗も大きく改善している。一般的な自動車でタイヤとホイールが発生する空気抵抗は、全体の25~30%を占めるとVWは説明する。

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そして、Mission Efficiencyでは、(操舵のため)タイヤが露出する前輪ではホイールアーチとタイヤの間隔を詰めるとともに、ホイールハウジング内の乱流を低減するデザインを採用したという。また後輪も含めたすべてのホイールの内側に、特許取得済みの新しいリムデフレクターを採用した。これにより、空気がリム内に入り込み、乱流が発生するのを防止しているという。もちろん、ホイール表面の凹凸をなくすため、ハブキャップの形状にも工夫を加えている。

ホイールに装着するタイヤはコンチネンタルタイヤのEcoContact 7シリーズをベースに、サイドウォールとトレッドのコンパウンドに手を加えてあり、1tあたり4.9kgという非常に低い転がり抵抗を実現した。これは欧州タイヤラベリングにおけるクラスAの基準値よりさらに約25%効率的だという。 

室内空間は重量削減のため、インフォテインメントシステム(スピーカー含む)などは搭載していない。必要な場合は搭乗者のスマートフォンやタブレット、過般型のBluetoothスピーカーなどで代用する。VWはそれを「Bring your own device(BYOD)コンセプト」などと格好良く呼んでいるが、要するに大昔、カーステレオのないクルマにラジカセを持ち込んでBGMをかけていた人たちと同じ発想だ。

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VWは、Mission Efficiencyがほぼ市販できる状態であるものの「市販車に近い」という言葉を用いて、あくまでプロトタイプとして紹介している。人によっては、市販されないならいくら燃費が良くても意味がないと思うるかもしれないが、少なくとも同社は圧倒的な効率性を実現するために、特殊かつ複雑で高価な技術が必要ではないことを証明したと言えるだろう。

現在、欧州には中国から安価なEVが押し寄せ、競争が激化することは避けられない状態になりつつある。そのため、VWがこのようなプロトタイプを開発し公開することは、欧州内でも安価で高性能なクルマを作れることを示すと言う意味で重要なことと言えそうだ。

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