中味がなんであれ海賊版を落とすのはいけません。

最新映画『オデュッセイア』、P2Pで出回り少なくとも数千人がダウンロード。しかしその中身は同時期公開の同名別作品

多根清史

Image:The Asylum

期待の新作映画が公開されると、劇場内でスマートフォンなどを使って盗撮した映像や、正規配信版を不正にコピーした海賊版が、ほどなくインターネット上に出回ることがある。

クリストファー・ノーラン監督の新作映画『オデュッセイア(The Odyssey)』も、その注目度の高さゆえか、同作の海賊版と思しき動画ファイルが、数千人規模でダウンロードされている模様だ。

オーストラリアのテクノロジー/ゲーム系オンラインメディアTweakTownによると、問題の動画ファイルには「The Odyssey (2026) 1080p WEBRip x264 5.1 YTS YIFY」という名が付けられ、Torrent(トレント)ネットワークを通じて配布されていたという。

動画の容量は1.59GBで、同媒体が確認した時点ではシーダー(配布側)約5800人、リーチャー(ダウンロード側)約4597人と、多数のユーザーがこのネットワークに参加していた模様だ。ここでいうTorrentとは、BitTorrentなどのP2P方式を利用して、大容量のファイルを複数のユーザー間で分散して送受信する仕組みのことだ。

ただ、ここで実際に配布されていたこの約1.59GBの動画ファイルは、おそらく大多数のユーザーが期待した『オデュッセイア』ではなかった。

そのTorrentネットワークからユーザーが入手した動画は、ノーラン監督ではなくマルセル・ヴァルツが監督し、映画スタジオ兼配給会社アサイラム(The Asylum)が製作した86分の同名映画『The Odyssey』だったのだ。

ヴァルツ版『The Odyssey』は米国で2026年7月3日にデジタル/VODで配信が開始された。一方、ノーラン監督の『オデュッセイア』は7月17日に米国で劇場公開となっている。

洋画好きにはおそらく知られていることだが、アサイラムは話題作や注目作と紛らわしい題材やタイトルを使用した低予算作品、いわゆる「モックバスター」を数多く手がける会社である。もちろん作品のキャストも異なるため、正しい作品情報がファイル名に記載されていれば、海賊版の利用者もすぐに別作品だと気づいた可能性が高い。

今回の事態をさらに複雑にしているのは、YTS/YIFYのミラーとされるTorrent情報の掲載ページに、ノーラン版の情報が記載されていたことだ。TweakTownによれば、そのページにはノーランが監督として記され、マット・デイモン、アン・ハサウェイ、ゼンデイヤといった出演者やあらすじも掲載されていた。ただし上映時間だけは86分で、ノーラン版ではなくヴァルツ版の上映時間と一致していた。

さらに記事によると、トレントのコメント欄にも、デイモンやハサウェイといったノーラン版の俳優陣について、演技が素晴らしかったと書き込む者までいたという。それらのコメントが実際に映画を視聴したうえで書かれたものなのか、別作品が配布されていることを知って投稿されたものなのかは明らかではない。

ちなみにYTS/YIFYは比較的小さなファイルサイズでHD映画を違法に配布することで知られた海賊版サイトだったが、2015年に閉鎖している。したがって今回のTorrent掲載ページは、YTS/YIFYの名称を冠したミラーサイト上のものとみられる。

中身がノーラン版であれヴァルツ版であれ、映画を著作権侵害に当たるファイルだと認識しながらダウンロードしたり共有したりすれば、法的な問題に巻き込まれる可能性がある(日本では、違法にアップロードされた著作物だと知りながらダウンロードする行為は、私的使用目的であっても原則として違法となる)。

また、こうした海賊版ファイルにはマルウェアが仕込まれている場合もあり、ユーザー自身やPCなどを重大なセキュリティ上のリスクにさらすことにもなる。
なにより、こうした海賊版には絶対に手を出さないようにする「注意喚起」こそ拡散したいところである。

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