海上輸送が大きく変わるかも

水面を滑るように飛ぶ「シーグライダー」が初の有人飛行に成功。製品納入に向け前進

Munenori Taniguchi

Image:REGENT Craft

航空機および船舶の研究開発のエキスパートが集まり、2020年に設立されたスタートアップ企業REGENT Craftが、水上飛行機、地面効果翼(WIG)、水中翼をひとつの機体に組み合わせ、水上を這うように飛行する「Seaglider」の試作機を用い、初の有人飛行に成功した。

通称「Viceroy」と呼ばれるこの試作機は、主翼の全面にずらりと並ぶ12機の電動プロペラで推進力を得つつ、中速域では水中翼の作用によって機体が少し持ち上がるような格好で水面を走る。

機体が持ちあがることによって波の抵抗が軽減され、さらに高速域に達すると安定性も向上する。そして地面効果、いわゆるグラウンドエフェクト(F1マシンのそれとは逆に作用する)の作用によって機体を水面から離陸させる。

離陸と言っても、この機体は水面と翼の間にクッション効果を生み出すグラウンドエフェクトが利用できるほんの数mしか浮上しない。しかしこれにより、通常の航空機よりも遙かに大きな積載量を実現できる。

REGENT初の有人飛行となった今回の試験飛行では、2人のパイロットがロードアイランド州のナラガンセット湾でViceroyに搭乗した。そして、水面から約10mの高さに浮かび上がり約30秒間の飛行で約590mを移動した。REGENTは、今回の飛行は試作機の試験プログラムにおける海上試験の最終段階にあたると述べている。

社の共同創業者兼CEOビリー・タルハイマー氏は、今回の飛行は「旅客輸送、防衛任務、貨物輸送など、幅広い分野で新たな可能性を切り開く、モビリティにおける新時代の幕開けとなる」と述べた。

有人飛行の成功により、Viceroyは海上試験の最終段階へと移行し、REGENTは商用モデルの生産準備を進めることになる。同社は6月、本社敷地内に機体製造施設を完成させており、今後Viceroyと自律飛行タイプの軍用モデル「Squire」の生産~試験を行う予定だ。

Image:REGENT Craft

ちなみに、Viceroyは12人乗りの海上専用機であり、旅客輸送、貨物輸送、洋上物流、捜索救助活動など、幅広い商業ミッションの支援を想定している。

また、日本からは、商船三井や日本航空(JAL)、ヤマトホールディングスなどが、将来の海上旅客輸送や海上物流用途を見据えて同社に出資しており、商船三井は商用化に向け許認可取得プロセスの共同開発も行っている。

もしかすると数年後には、日本の海上をREGENTのSeagliderが飛んでいる姿を見ることができるかもしれない。

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