ソニーは「関税無効後にPS5を値上げしたので因果関係なし」と主張
PS5・Xbox陣営、トランプ関税還付めぐる訴訟で任天堂に追随。公正価格での正当な取引と主張

米連邦最高裁は2026年2月、トランプ政権が導入した広範な関税を違法と判断した。この関税の影響を受けた企業では還付の手続きが進んでおり、その中には、大手ゲーム機メーカーも含まれている。
任天堂は8月6日に公表した決算資料で、米国の関税還付に伴う約3億ドルを売上原価から控除したことを明らかにした。また、ソニーの幹部も7月、投資家向け説明会で、米政府から約5億800万ドルの関税還付を受ける見込みであり、その大半はPlayStation部門に配分されると説明している。
そんななか、ソニーとマイクロソフトは、それぞれを相手取って提起された訴訟で、『購入者は表示された価格を自発的に支払い、その価格どおりの商品を受け取った』と主張。還付金をゲーム機の購入者に還元する法的義務はないと反論していると、元AxiosやKotakuのゲーム担当記者という経歴を持つスティーブン・トティロ氏が、自身のニュースレターGame Fileで報じた
こうした論法は、任天堂をめぐる「関税の二重取り」を主張する訴訟への反論とも、極めてよく似ている。原告側は、任天堂がいったんトランプ関税を価格に上乗せして消費者から回収した一方、その後に関税の還付も受けていると主張している。
まずソニーを相手取る訴訟は2026年5月、カリフォルニア北部地区連邦地裁に提起された。原告側は、2025年8月1日以降に米国でPlayStation本体を購入した人への一部返金を求めている。
これに対してソニー側の弁護士は、「消費者が自発的に購入した商品について、公正な市場価格を支払ったとしても、法的に認められる損害には当たらない」と主張し、訴えを棄却するよう求めたという。
一方、マイクロソフトのXboxをめぐる訴訟は、Trevor Hastings氏が2026年7月に起こしたものだ。マイクロソフトは8月21日付の却下申立てで、「原告が表示された価格でXboxを購入し、支払った金額に見合った商品を受け取ったことに、何ら不当な点はない」との立場を示したという。
さらに興味深いのは、両社とも「原告は、関税とゲーム機の値上げの間に因果関係を示していない」と主張していることだ。
まずマイクロソフトは、「原告は、関税に起因する価格差がいくらだったのかを示す具体的な主張をしていない。また、マイクロソフトが当時、関税分を1ドル単位で価格に反映させていたことや、現在その計算を再現できる可能性を示すものも何ら提示していない」と述べている。
そしてソニー側は、興味深い反論を展開している。関税が違法と判断された後の今春、PS5がさらに値上げされたという事実だ。
「当初の値上げが関税に起因するものであったなら、最高裁判所がIEEPAに基づく関税(訳注:いわゆるトランプ関税)を無効とした後、SIE(PlayStation事業)が再び値上げする理由はなかったはずである」「関税が値上げの原因だったのであれば、関税が違法と判断された時点で、SIEは価格を引き下げると予想されるはずだ」という。
こうした時系列は「PlayStation本体の価格設定には、多様かつ動的な一連の投入コストが含まれていることを裏付けている」とのことだ。要するに、関税はさまざまなコスト要因の1つにすぎず、関税額とゲーム機の値上げ額がそのまま対応しているわけではない、という主張である。
こうした企業側の主張が認められるのか、それとも原告側が主張する「関税分を価格に上乗せした以上、還付された関税分を消費者に返金すべきだ」という主張が法的に認められるのか。今後の裁判所の判断に注目したいところだ。
- Source: Game File
