情状酌量はどうだったのか

ロボット掃除機で妻の不倫とらえた夫、離婚訴訟に勝利もプライバシー侵害で懲役刑に

Munenori Taniguchi

Image:Yuganov Konstantin/Shutterstock

ある離婚訴訟を争った夫は、ロボット掃除機の機能を使って妻の不倫現場を録画し、その映像を決め手として裁判に勝利した。しかしその妻からプライバシー侵害で訴え返された結果、懲役刑を言い渡されてしまったという。

思わず「ワケわからん」とツッコミを入れたくなるようなややこしい話だが、これは台湾で実際に起こった出来事だ。

2021年に結婚したこの夫婦は、普段は両親と同居しているものの、休暇期間などは別荘に滞在することもあったという。

2023年にこの別荘に滞在したとき、夫はバスルームで見覚えのない使い込まれた歯ブラシを発見した。そして、それを不審に感じた夫は、駐車場の防犯カメラ映像を確認してみた。するとその一部には、以前に妻を家まで車で送ってきたことのある男が映っていた。

そして、夫はそばにあったロボット掃除機のアプリに、掃除機に内蔵のカメラで室内の様子を録画する機能があることを思い出し、それを使えば妻と男が密会しているかどうかを確認できるのではないかと考えた。

ことが大きく動いたのは3か月後のことだった。夫は妻がひとりで別荘に行った

際に、掃除機アプリを起動して遠隔から妻の様子を見てみたところ、その映像には防犯カメラの男の前を妻があられもない姿で歩き回り、ベッドでことに及ぶ様子が映し出されたとのことだ。

憤慨した夫はその一部始終を録画し、直後に起こした離婚訴訟に証拠として提出したという。その結果、これが決定的な証拠となり、夫は妻と駐車場の男から50万台湾ドル(約252万円)の賠償金を勝ち取ることができたという。

だが、事はこれで収まらなかった。現在、台湾を含む世界のほとんどの国や地域では、本人の了承なしに他人を録画することは違法となる。そこで妻は、自分のプライベートかつ親密な映像を無断で録画したとして夫を訴え返した。

夫はロボット掃除機で映像を録画している際には、本体に録画中であることを示すランプが点灯することなどを反論材料とし、さらに裁判所が既にその映像を証拠として認めたことを根拠に、録画はプライバシー侵害には当たらないと主張した。しかし裁判所は、無断で録画する行為自体が違法な手段であるとして、妻によるプライバシー侵害の訴えを支持する判決を下したという。

しかも夫にとっては悪いことに、妻への賠償金15万台湾ドル(約76万円)とともに、5か月の懲役刑まで言い渡されることとなった。賠償金だけなら、先の離婚訴訟で得た金額の一部を返却するだけと言えたものの、懲役刑は夫にとっては大きな代償となる。

もし、離婚訴訟で夫の弁護人が、映像がプライバシー侵害に問われる可能性があることに気づいていたら、こんなややこしいことにはならなかったのではないかとも思えるが、逆にもし映像を提出しなければ、離婚訴訟が泥沼化して余分な費用と時間を浪費し、双方が疲弊していた可能性もあったかもしれない。

台湾では不倫という行為自体は犯罪ではないものの、ひとたびバレてしまうとスッキリ解決するのが非常に難しいことだけがはっきりした格好だ。