アップルはすでに中国の組み立てサプライヤーに依存

アップル、中国製メモリ採用へ前進。ブラックリスト企業のチップをテストか

多根清史

Image:Kinek00/Shutterstock.com

アップルがメモリ価格高騰のなか、中国のメモリメーカーCXMT(ChangXin Memory Technologies)製メモリチップについて、中国向けデバイスへの採用を視野に入れた試験を積極的に進めていると、英Financial Times(FT)が報じている。

数週間前、同社のティム・クックCEOはThe Wall Street Journalに対し、メモリやストレージチップの不足と価格高騰により、アップル製品の値上げは避けられないと語った。また、米政府が安全保障上の理由から中国企業との取引に課している制約を緩和すべきかと問われ、「あらゆる選択肢を検討すべきだと思う」と述べ、「あらゆる供給源を検討すべきだ」と付け加えていた。

その後、アップルはすでにトランプ政権に対し、CXMTからチップを購入するための承認を求めていたことが明らかになった。FTはCXMTについて、「米国防総省が、中国人民解放軍との関係があるとされることを理由にブラックリストへ追加した中国企業」と報じている。

その数日後にFTは、アップルがCXMTに加え、YMTC(Yangtze Memory Technologies Co., Ltd.)からのチップ調達についても交渉していると報じた。YMTCは中国・武漢に本拠を置く3D NANDフラッシュメモリ専業メーカーである。

そして今回、FTは状況がさらに進展していると伝えている。この件に詳しい2人の関係者によると、アップルは中国国内で販売するデバイス向けに、CXMT製DRAMチップの試験を開始したという。また、アップルはCXMT製品の利用をより広く認めるよう米政府に求めるロビー活動を、米テクノロジー企業の間で主導しているとのことだ。

アップルが中国向け製品で中国製メモリサプライヤーを採用しようとする取り組みは長年続いている。2022年には、中国で販売するiPhone向けにYMTC製NANDチップの採用を検討していると報じられていた。当時、この計画は米国議員から警告を受けたほか、超党派の上院議員グループも、輸出管理規制違反の疑いを理由に、バイデン政権へYMTCとの取引を阻止するよう求めていた。

しかし、今回は状況が異なる。メモリ価格が高騰し、アップルがすでに一部製品を値上げしているなか、中国で販売するデバイスに限定してCXMT製チップを採用することで、トランプ政権から承認を得るための、より説得力のある主張を展開できる可能性がある。

それでも根本的な懸念は変わらない。米国議員らは以前から、YMTCやCXMTのような中国サプライヤーを利用することは、中国政府の補助金による支援を受けているとされる競合企業をさらに強化し、米国企業の競争力を一層損なう恐れがあると主張してきた。

とはいえ、アップルはこれまでも、中国系のLuxshareなど組み立てサプライヤーと密接な関係を築き、中国企業の競争力向上に大きく貢献してきた経緯がある。Luxshareは中国の政府系投資会社から資本や補助金を受けており、中国の産業政策を担う企業の一つと位置付けられている

その意味では、メモリチップメーカーとの取引についても、その延長線上で認められる可能性は決してゼロではないだろう。

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