「成人専用」が意味深

人間そっくりのAIロボット伴侶、中国で発売へ。約285万円から

多根清史

Image:UBTECH/PRWIRE

中国企業UBTECH Roboticsは最近、人型AIロボット・コンパニオン「UWorld U1 Series」を発表した。シリコン製の皮膚と人間らしい顔立ちを備えた、等身大で非常にリアルなロボットシリーズである。

同社は主に商業・産業向けロボティクスで知られているが、この新たな人型ロボットは、身体的支援や社会的支援、ライフスタイル面での演出、感情面でのサポートを担う「コンパニオン」としての利用を想定している。ロボットは音声やジェスチャー、やり取りを通じて20種類の感情状態を90%以上の精度で認識し、基本的な人間の動作の最大90%を再現できるという。

本製品は成人専用であり、その用途の線引きや倫理面について懸念を示す声もある。ラインアップはベーシックな「Lite」から最上位の「Ultra」まで複数のグレードが用意されており、価格にも大きな幅がある。最上位モデルは99万元(約2365万円)、最も安価なLiteモデルは11万9800元(約285万円)である。

発表会では、さまざまなロボットモデルと実際の俳優を組み合わせたステージ演出が行われた。一方、公開されたデモ映像には生成AIが用いられており、ロボットが日常生活に溶け込む姿をイメージとして描いている。

ある生成AI映像では、ロボットがスマートフォンを使って「話したくなったら連絡して」とメッセージを送り、画面外の視聴者の手を握る様子が描かれている。また別の映像では、女性型ロボットがオーナーとともに日差しの降り注ぐビーチではしゃぐ姿も映し出されている。ただし、これらはいずれもイメージ映像であり、実際の稼働シーンではない。

U1シリーズは、ロボットが人と関わるための仕組みをすべて自社で構築した、独自のエンドツーエンド技術スタックを採用しているという。生体模倣皮膚やシステムレベルの製造技術といったハードウェアに加え、独自OSや感情駆動型LLM(大規模言語モデル)を統合しているとのことだ。

こうした技術を基盤として、日常生活での寄り添いや感情面のサポート、ライフスタイルの向上、社会的支援に加え、受付・ホスピタリティサービス、高齢者ケア、心理的支援、観光・展示会、研究・教育、高付加価値な家庭内サービスなど、幅広い用途への活用を想定している。

UBTechはあわせて、「Human-Robot Companionship Initiative(人間・ロボット伴侶イニシアチブ)」も発表した。

中国では孤立した環境で暮らす成人が多く、一人暮らしの成人は9000万人以上、子どもと同居していない高齢者は1億1800万人に上る。さらに、その10~20%は認知症や重度のうつ病などの精神疾患を抱え、きめ細かな精神的・身体的ケアを必要としているという。

UBTechは「マルチモーダルな状況認識と組み合わせることで、ロボットは体系的な心理的支援サービスを提供するよう設計されている」と説明している。

中国では2026年6月時点で100社以上の人型ロボットメーカーが存在し、約2万8000台の人型ロボットが稼働していると報じられている。あまりに台数が増えたため、中国工業情報化部(MIIT)は、人型ロボットすべてに一意の識別番号を付与する取り組みを開始したという。

たとえば、ロボットが暴走して事故を起こした場合でも、この識別番号からメーカーや運用者を特定し、責任の所在や安全対策を検証できるようにすることが狙いとされる。中国は他国に先駆け、「人型ロボットとの共存」というSFのような課題に向き合い始めているようだ。

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