人間への誤射や火災防止のため広角カメラ追加

蚊をAIで追尾してレーザーで撃墜、エンジニアが“自宅の蚊を全滅”させる

多根清史

Image:Towfiqu ahamed barbhuiya/Shutterstock.com

人類はこれまで、蚊との戦いにおいてさまざまな兵器を生み出してきた。日本では蚊取り線香がおなじみだが、海外では人間の血液を蚊にとっての毒へ変える技術や、1週間以上効果が持続する忌避剤の開発など、その手法は多岐にわたる。さらにGoogleは、不妊化細菌に感染させた数百万匹の蚊を米国2州で放出する「デバッグ」実験も進めている

そんななか、ロボット工学エンジニアのSteven Cheng氏は、AIを活用したレーザーシステムを開発し、自宅の蚊を全滅させたと報告している。

数か月にわたる開発の末、同氏はカメラとAIモデル、そして本人が「レーザー砲」と表現する装置を組み合わせたプロトタイプを完成させた。このシステムは蚊を識別し、狙いを定めて排除できる。

Cheng氏は蚊を認識するための画像取得手法をいくつか試した結果、高倍率レンズを装着したキヤノン製デジタル一眼レフカメラを採用した。同氏はX(旧Twitter)への投稿に寄せられた返信で、産業用カメラの方が適していると認めつつも、この段階では手元にあった機材を再利用しただけだと説明している。

同氏は何度も蚊に刺されながら、AIモデルに蚊を正確に識別させるため、大量の蚊の画像データセットを収集。その後、ラベル付けやタグ付け、メタデータの追加といった時間のかかるアノテーション作業に取り組み、AIがパターンを識別し、このケースでは標的を認識するための基盤を構築した。

視覚認識と解析の工程を整えた後、Cheng氏は「兵器」本体の組み立てに着手した。同氏はレーザーを選定し、その出力を瞬時に蚊を焼き払えるよう調整を行った。

レーザーが極めて小さな標的を正確に捉えられるよう、レーザーは高精度な産業用ロータリーステージに取り付けている。これは搭載した物体を1度未満のごく小さな角度で、安定した状態を保ちながら繰り返し回転できる装置である。これにより、レーザーはぶれることなく高い精度で蚊を狙える。

さらに安全対策として、人間の身体や可燃物を検出するため、2台目となる広角カメラも追加した。

Cheng氏は、このデータセットをNenPower(データ共有プラットフォーム)で公開し、ほかの開発者が再現あるいは改良できるようにする予定だとしている。また、マイクアレイを追加する案にも前向きな姿勢を示しており、実現すれば蚊をさらに素早く検出できる可能性があるという。

同氏は現在のシステムを「おもちゃ」と表現する一方で、さらなる機能を備えた第2世代モデルを開発中であることも示唆している。

関連キーワード: