予定の運用期間をはるかに超えて活躍しました

NASA、通信途絶した火星探査機「MAVEN」を運用終了。火星の大気を10年以上観測

Munenori Taniguchi

Image:NASA

NASAは、2015年12月6日から通信が途絶えていた火星の大気探査機MAVEN(メイヴン)の運用を終了すると発表した。

MAVENは2013年11月にUnitel Launch Alliance(ULA)のアトラスVロケットで打ち上げられ、2014年9月21日に火星周回軌道に入った。それ以後、MAVENは火星の大気散逸(大気が宇宙に流出してしまう現象)や、助走大気における電離層と太陽風の相互作用などを観測し、火星大気が宇宙空間に失われていく過程の科学的解明に貢献してきた。これにより、科学者らは火星の大気と気候、液体の水、そして惑星の居住可能性の歴史に関する理解を深めることができた。

NASA本部の惑星科学部門長、ルイーズ・プロクター氏は「MAVENがもたらした科学的知見は、人類を火星に送る前にどのような放射線防護や安全対策を講じるべきかを判断する上で非常に重要だ」とし、「MAVENから収集されたデータは、今後数十年にわたり、火星への理解を深めるための貴重な手がかりとなるだろう」とコメントした。

また、MAVENの主任研究員であり、コロラド大学ボルダー校大気宇宙物理学研究所の研究員でもあるシャノン・カリー氏は「MAVENミッションは、火星の大気と進化に関する私たちの理解を真に前進させてきた。このデータセットは、この分野に計り知れない影響を与えている。これらの素晴らしい発見すべてを非常に誇りに思っている」と述べている。

Image:NASA

MAVENプロジェクトマネージャーのマイク・モロー氏は、MAVENが昨年12月に通信途絶状態になった故障の根本原因を特定するための調査を継続していると付け加えた。MAVENは当時、地球から見て火星の向こう側に隠れる際になんらかの故障が発生したと見られている。

テレメトリーのデータは何らかの原因によって機体が高速回転状態になり、軌道が変わった可能性があることを示している。NASAのチームは、火星の地上にある探査ローバーCuriosuty(キュリオシティ)のカメラを用いて、MAVENが通過する予定時刻に上空の軌道を撮影したものの、その姿を発見することはできなかった。

これまでの調査結果によると、MAVENは何らかの理由によって機体が回転状態になり、太陽電池からの電力供給が困難になったためバッテリーが消耗して、システムがセーフモードに入り、最終的にバッテリーが尽きて復旧不能になったと考えられている。根本の原因である、機体が回転状態になった理由についてはまだ特定できていない。

ちなみに、MAVENの当初の予定活動期間はたった1年だった。しかし、順調に運用を継続できることがわかり、ミッションは10年間も延長された。MAVENが失われたことで、これまでMAVENが行っていた観測はできなくなったが、火星上空の軌道には、現在も2001年打ち上げのMars Odyssey、2005年打ち上げのMars Reconnaissance Orbiter(MRO)の2機が現在も運用を続けている。

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