背に腹は替えられない?

アップルのAIは他社頼み? 新SiriはGoogle Cloud上のNVIDIA GPUを利用か

多根清史

Image:Evolf/Shutterstock.com

まもなくアップルはWWDC 26の基調講演で、Google Geminiを活用した刷新版Siriを発表する見通しだ。その一部処理のため、同社がGoogle Cloud経由でNVIDIA製チップを利用する見込みだと報じられている。

ニュースメディアThe Informationによると、アップルとGoogleの提携に基づき、新しいSiriの一部の高度なクエリは、Google Cloud上で動作するライセンス版Geminiモデルに送られるという。その際、アップルはGoogle Cloudが保有するNVIDIAの最新データセンター向けAI GPU「Blackwell B200」のインフラを利用するとのことだ。

これに伴い、アップルは強力なプライバシー保護策として、NVIDIAのハードウェアベースのセキュリティ機能「Confidential Compute」の使用を承認したという。この機能により、データがGPU上で処理・計算されている最中も暗号化状態が維持されるため、共有クラウド環境であってもデータの機密性と完全性を保護できる見通しである。

The Informationは、今回のアップルの動きについて、「製品を構成する重要な要素をすべて自社で管理しようとする同社の従来戦略とは異なる」と指摘している。また、アップルは自前のセキュアなサーバーシステム「プライベートクラウドコンピュート(Private Cloud Compute:PCC)」を発表済みだが、Geminiを搭載した刷新版Siriにおいて、このPCCがどのように組み合わされるのかは依然として不透明だとしている。

昨年末には、GeminiのカスタムモデルはあくまでPCC環境上で動作し、ユーザーデータがGoogle側と共有されることはないと報じられていた。しかし今回の報道が事実であれば、一部とはいえSiriの処理が「Google Cloud上」と「NVIDIAのAI GPU上」という二重の意味で他社の環境に持ち出されることになる。

かつてアップルは、AI処理をすべてオンデバイス(端末内)で完結させることを目指していると見られていた。しかし、その開発は大幅に遅れ、競合他社に大きく差を付けられている。そうした状況を踏まえると、背に腹は代えられないという判断なのかもしれない。

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