1988年に行方不明になっています
はやぶさ2が目指す小惑星「1998 KY26」 実は旧ソ連の探査機か、可能性示す論文発表

2018年に小惑星リュウグウからの岩石サンプルを採取し、2020年に地球へそのサンプルを送り届けた日本の小惑星探査機は、現在は拡張ミッションとして地球近傍小惑星1998 KY26を目指して航行中だ。
2031年7月頃にはやぶさ2が到着すると考えられる1998 KY26は、2017年に太陽系外から飛来して、あっというまに通り過ぎていった恒星間天体オウムアムア(1I/2017 U1)と同じ「暗い彗星」である可能性が示唆されている。
オウムアムアは、当初は彗星と考えられていたが、「コマ」と呼ばれる彗星を取り巻くガスあるいはダストが確認されなかったため後に小惑星とみなされるようになった。また、後にその表面は暗い赤褐色をしていることが確認された。科学者たちは、1998 KY26も「暗い彗星」である可能性があり、5年後に「はやぶさ2」がその天体を訪れたときに、より詳しく観察できる興味深い機会となるだろうと示唆している。
だが、ハーバード大学の天文学者アヴィ・ローブ氏らは、今回発表した未査読論文のなかで、1998 KY26がまったく異なる類いのものである可能性があると述べている。それは、旧ソ連が1988年7月に打ち上げた火星探査機「フォボス1号」だ。フォボス1号は1988年9月に管制との交信が失われ、そのまま行方不明となった。
フォボス1号が通信を絶った理由は、地上管制が探査機の姿勢制御スラスターを停止させるコマンドを送信した際に、必要な文字列が一部抜けていたせいで、スラスター噴射が停まらなかったことが原因だと後に判明している。
1998 KY26に対しては、はやぶさ2の拡張ミッションを支援するために多数の地上の天文台を用いた観測が行われ、その観測結果が2025年に報告された。興味深いことに、この報告の中で1998 KY26は、その表面の反射率(アルベド)の数値が非常に高いことが示されている。
さらに、推測される1998 KY26の大きさは約11mで、フォボス1号と似通ったサイズであることもわかった。一方、自転周期は約5分と非常に短周期で、頑丈な1枚岩でもなければ(あるいはなんらかの宇宙機でなければ)、遠心力によって分裂してしまう可能性が指摘されている。
そして、ローブ氏らの論文によれば、行方不明となったフォボス1号は最後のスラスター噴射で1998 KY26の軌道とよく似た軌道に乗った可能性があり、「2つの軌道は収束し、統計的に整合性がある」と示唆されている。

ローブ氏らの論文が正しいかどうかは、まだわからない。ただ、はやぶさ2がそこに到達する2031年が近づけば、いろいろなことが判明するだろう。「はやぶさ2による観測は、この天体の起源を解明する上で決定的なものとなるだろう。そこで我々は、1998 KY26の性質と特性をより厳密に制約することを目的とした、さらなる研究を奨励する」と、ローブ氏らは論文で述べている。
- Source: arXiv.org Avi Loeb(Medium)
- via: Futurism
