ベンダーロックインを解消

欧州議会、デフォルト検索エンジンからGoogle除外。プライバシー重視のQwantに移行へ

Munenori Taniguchi

Image:HJBC/Shutterstock.com

欧州議会は6月4日から、議会内のコンピューターにおけるデフォルトの検索ツールをGoogleからフランスの検索エンジンに変更するという。

同議会はウェブブラウザーとしてMicrosoft EdgeとFirefoxを使用しているが、職員に送信されたメールによると、「議会のデジタル主権とユーザーの個人データ保護への取り組みに沿って」木曜日からはそれらのデフォルト検索エンジンをプライバシー重視をうたうフランス製「Qwant」に切り替えるとのことだ。

ただし、議会職員はブラウザーの検索エンジン設定を必要に応じて変更することが可能であるため、設定で検索エンジンをGoogleに戻すことは可能とされている。

欧州では、以前より主にフランスが、電子メールによるコミュニケーション、公的および私的データの保存と処理、そして政府サービスを支える多くのツールなど、あらゆるものの基盤となっている米国の技術への依存を減らし、EUの最も機密性の高いデータを米国にあるサーバーから取り除こうと提案してきた。

これに対し当初は、オランダやデンマークなどの国々は裏目に出た場合に欧州経済に打撃を与える可能性があるとして反対の立場を取り、批評家たちもフランスの取り組みを露骨な保護主義だと非難した。

しかし、米国の前大統領であるバイデン氏が、退任直前に一部の欧州諸国へのAIチップの輸出を制限する規則を強行採決したことや、新たに政権を握ったトランプ大統領が2024年11月に国際刑事裁判所(ICC)がイスラエルのネタニヤフ首長らに逮捕状を出した際、米国がICC職員らに対し、VisaやMastercardなどの決済システムや、Amazon、Airbnb、Booking.comなどのサービスの利用を制限する制裁措置を講じたことなど、米国技術への依存を逆手にとって意に沿わせようとする米国政府の戦略に対する不満がEU諸国では拡がっている。

Iamge:YueStock/Shutterstock.com

そして、欧州議会は米国のテクノロジーへの依存が一種の脆弱性であるとの認識から、その依存を低減し欧州独自の技術を推進することを目的とした、いわゆる「技術主権パッケージ」の構築に着手している。その手始めとなるのが、Google検索の除去となる。

ニュースサイトのPoliticoは、欧州議会では「外国のテクノロジー企業との完全な決別を強要することにはまだ消極的だが、デジタル独立を目指す動きはもはや無視できない勢いとなっている」と伝えている。

新たに欧州議会が採用するQwantは「ユーザーの追跡や個人データの収集を避けるように設計された「プライバシー重視の欧州製検索エンジン」だと説明されている。2013年に設立されたQwantは、自らGoogleに代わるプライバシー第一の検索エンジンであることを売り文句としている。

ちなみにフランスでは、すでに技術主権の考えから政府機関のワークステーションをWindowsからLinuxに切替、ビデオ会議システムもZoomやMicrosoft Teamsから国産アプリのVisioに置き換えるなど、一足先を進む姿勢を見せている。

また、Googleは検索に強制的にAI機能を取り入れていることから、一部のユーザーはこれに反発してGoogleの使用取りやめる動きもある。検索サービスを提供しているDuckDuckGoは、GoogleがAIモード強化を押し出して以降、同社のアプリのインストール数が急増したと述べており、過去最高の検索トラフィック数を6月1日に記録したと発表している。

関連キーワード: