8月にボンネビルのSpeedweekで走ります

水素エンジン2基で1600馬力の「Hydromax」で最速記録へ、重機メーカーJCBが挑戦

Munenori Taniguchi

Image:JCB

英国に拠点を置く多国籍建機メーカーJCBは、水素エンジンを搭載した車両による世界最高速度記録に挑戦することを発表した。米ユタ州にある有名なボンネビル・ソルトフラッツで、毎年8月に開催されているスピード記録大会『Speedweek』での記録樹立を目指す。

世界に約2万人の従業員を抱えるJCBは、水素技術を次世代動力の一つとして位置づけており、これまでの5年間に約1億ポンド(約213億円)を投じて水素エンジンを開発してきた。すでに、水素エンジンを搭載した建設機械も生産を開始しているという。

自動車分野ではバッテリー式電気自動車がある程度普及しており、水素燃料電池を使用する電気自動車も存在する。しかしJCBは、エネルギー密度と燃料補給時間が極めて重要な重機分野において、水素エンジンが実用的な選択肢になると主張している。地上速度記録への挑戦は、まさに世界で最も注目される舞台で、水素エンジンの可能性を世界に示すための、実証実験ということもできそうだ。

なお、今回使用される車両「JCB Hydromax」は、2006年にディーゼル車の世界最高速記録を樹立した「JCB Dieselmax」の後継にあたる。Dieselmaxのチャレンジでは、英空軍出身のドライバー、アンディ・グリーン氏がまるで翼を取り除いた戦闘機のような車両を操縦し、時速350.092マイル(約563.4km/h)のディーゼル車最速記録を達成した。この記録は現在も更新されていない。

Hydromax開発プロジェクトには、かつてはスバルWRCチームや、B・A・R F1チームのオペレーションで日本にも馴染み深いモータースポーツ技術企業のプロドライブと、マクラーレンのスーパーカー用エンジンなどを手がけるエンジニアリング企業のRicardoが協力している。

JCB Hydromaxは、市販ベースの水素エンジン2基を搭載し、合計で1600馬力を出力する。そして、まずは英国内でのテスト走行で様々な確認作業を行い、それから本番に備える予定だ。

Image:JCB

8月のSpeedweekイベントでは、南カリフォルニア計時協会(SCTA)が公式記録の認定を行う。順調にいけば、JCBはその後、国際自動車連盟(FIA)の公認世界記録への挑戦にも臨む計画とのことだ。

JCBは一般的に、建築用の重機や農業用トラクターなどのメーカーとして知られている。だが、2006年には低迷する英高級車メーカーJaguarの買収候補に名前が挙がったともあり、スピードへの熱量も高い。

これまでには、2014年にバックホーローダー(前にブルドーザー、後にパワーショベルの機能を持つ重機)で72.58mph(116.81km/h)、さらに2019年にはトラクターで135.191mph(217.57km/h)を記録している。

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