マスクとの訴訟に勝ったことで大きく前進か

OpenAI、9月上場の可能性も「巨額赤字」の実態?

多根清史

Image:/izzuanroslanShutterstock.com

OpenAIが近く新規株式公開(IPO)に向けた申請を行う準備を進めており、順調に進めば9月にも上場する可能性があると、米The New York Timesが報じている。

同紙が取材した2人の社内関係者によると、OpenAIはゴールドマン・サックスおよびモルガン・スタンレーと協力し、IPO申請書類の準備を進めているという。さらに、申請のタイミングについては株式市場の動向を見ながら調整する方針とのことだ。

OpenAIは今回の報道にコメントしているものの、その内容は曖昧な表現に留まっている。「通常のガバナンスの一環として、弊社は定期的にさまざまな戦略的選択肢を評価しているが、焦点はあくまで実行にある」としている。

同社はAI分野で最大級の企業の1つであり、直近の資金調達ラウンドによる評価額は7300億ドルに達している。さらに、競合であるSpaceX(現在はxAIを保有)やAnthropicもIPOに向けた動きを進めているとみられており、AI業界では近く株式公開ラッシュが起こる可能性もある。

また今回の報道は、OpenAIがイーロン・マスク氏による訴訟で、米連邦陪審がサム・アルトマン氏側を支持した直後の出来事でもある。 この訴訟は、同社の営利部門を崩壊させる可能性があったとされており、IPOに向けた法的リスクが1つ解消された形だ。

ただし、OpenAIの経営構造については「歪である」との指摘もある。同社には収益と支出の間に大きなギャップがあり、収入を上回る支出を続けている。2024年には37億ドルの売上高に対し、50億ドルの損失を計上していた。その後は売上高が急速に拡大しているものの、コストも同様に膨らみ続けている。

このペースで支出拡大が続けば、2027年半ばまでに資金が枯渇するとのアナリスト予想もある。一方で、OpenAIに強気な見方をする専門家は、2029年〜2030年には黒字化すると主張している。 もっとも、それでもスタートアップ企業としては、収益化までかなり長い道のりと言える期間である。

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