科学者は警告していたけれど…

米テキサス州の都市で「来年にも水が枯渇」か。長年の警告も対策進まず

Munenori Taniguchi

Image:moskha.com

米テキサス州8番目の都市であるコーパスクリスティ市は、4月初めのコーパスクリスティ湖の貯水量が約9%、チョークキャニオン貯水池は8%以下にまで減少し、来年には水が枯渇する可能性が出てきた。

ピーター・ザノーニ市長は、早ければ9月にも市全体の水使用量を25%削減しなければならなくなるとし、3月の定例市議会では「前例がない。マニュアルもなければ、参考になる動画もない」と嘆いた。

同市は50万人を超えるテキサス州民の生活用水を供給しているだけでなく、メキシコ湾岸地域における主要な工業地域でもあり、一帯では化学工場、石油施設、プラスチック工場などが操業している。

気候科学者たちは長年にわたり、水資源の不適切な管理がもたらす影響について警告を発してきた。さらに、5年も続く干ばつのために、冒頭に述べたようにもはや水が残り少なくなっている。研究者らは、州の水計画では供給量や需要量の予測に気候変動が明示的に考慮されていないと指摘してきた。

Texas Observer電子版は、現在起こっていることの本質はタイミングのズレによるものだと指摘している。何十年も水不足が予見されてきたにもかかわらず、2015年以降、石油化学プラント、製鉄所、液化天然ガス(LNG)輸出施設が、十分な水が確保できるという保証のもと、この地域に進出してきた。

しかしその保証は、気候予測によってすでに維持不可能と示唆されていた水文条件下でなされ、約束された豊富な水の供給は、実際には持続不可能なものだった。現在、工業施設は市全体の水消費量の50~60%を占めている。

ザノーニ市長は、「ある程度の降雨量を前提とした最良のシナリオでは、コーパスクリスティ湖の水位は初秋頃まで維持されるだろう」と楽観的な見通しも述べている。仮に石油化学プラントその他の産業の一部を停止することができれば、人々の生活用水は確保できるかもしれない。しかし、石油・ガス業界の幹部らは、イランとの戦争の影響で既に過去最高値に近づいているガス価格がさらに上昇する可能性があると警告している。

コーパスクリスティ市から水を購入し、産業利用者に供給しているサンパトリシオ市営水道局の元幹部ドン・ローチ氏は「大量の雨が降らなければ、産業は操業停止を余儀なくされるだろう」そして「産業が停止すれば、コーパスクリスティで職を失った人はどうなるのか?産業がなければ、他にどんな事業が成り立つというのか?これは前例のない災害だ」と述べた。

コロンビア大学水センターのシャノン・マルケス教授は、「コーパスクリスティで起きていることは、決してそこだけの問題ではない」とし、水不足に悩んでいない都市でも将来起こりうることだという。「私たちが対策を講じなければ、事態はまさにこのように展開していくだろう」 とマルケス氏は述べている。

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