最も誇る仕事はApple Watch
ティム・クック、Appleマップの「パチンコガンダム駅」大失敗を回顧

今年秋の退任を発表したアップルのティム・クックCEOは、後継者のジョン・ターナス氏とのタウンホールミーティングで、2012年のApple Maps(マップアプリ)のリリースについて、自身にとって初の「本当に大きな失敗」だったと振り返ったとBloombergが報じている。
このマップアプリはiOS 6とともにリリースされたが、日本では「パチンコガンダム駅」や、羽田空港内に大王製紙が表示されるなど、誤表示だらけの地名表示を記憶している人も少なくないだろう。経路案内も不正確で、海外では国立公園内をさまようドライバーが出たとの報道もあった。当時はGoogleマップに代わる存在として期待されたものの、実用に耐える水準には達していなかった。
クック氏は「まだ完成していなかった。主に地元(アップル本社のあるカリフォルニア州クパチーノ周辺)向け機能をテストしていたからだと思っていた」と語り、世界規模で起きていた問題を把握しきれていなかったことを示唆している。
この失態については、自らユーザーに公開謝罪し、競合のナビアプリについて「我々よりも優れている」と認めたうえで、そちらを使うよう勧めたことも振り返った。その対応は、アップルがユーザー体験を最優先にしている一例だったとしつつ、自身にとっては「謙虚になる経験だった」と語っている。
この失敗を受け、スコット・フォーストール氏を含む上級幹部の交代が行われ、アップルの開発体制にも影響が及んだ。それでも地道な改善を重ねた結果、現在ではマップアプリは高いユーザー評価を得ている。
クック氏は「今や我々は地球上で最高の地図アプリを持っている。我々は粘り強さについて学び、そして失敗をしたうえで、まさに正しいことをした」とも付け加えている。
明るい話題としては、クック氏はApple Watchと拡大し続ける健康機能を、自身が最も誇りに思う仕事として挙げた。この製品によって命を救われたユーザーから初めて手紙を受け取ったことを振り返り、「私は思わず足を止めた」と述べている。
さらにクック氏は、自身の失敗リストは「驚くべき長さになるだろう」と認めた。発表後に発売中止となったAirPower充電マットや、幻に終わった自社ブランドEV「アップルカー」も確実に上位に入りそうだが、在任中に他社のような製品リコールなど大きな不手際がなかったことは、確かな経営手腕の一端を示していると言えるだろう。
