訴えが棄却される可能性は高そう

任天堂、トランプ関税返金めぐり米ゲーマー2人が訴訟。「値上げは二重取り」主張

多根清史

Image:Red Herring/Shutterstock.com

任天堂は、2025年にトランプ大統領が課した「相互関税」は違法であるとして、米政府に対し、支払った関税の全額を利息付きで還付するよう求める訴訟を提起した。同様の訴えは多くの企業も起こしており、米政府は最大1600億ドル規模の返金を行う見込みである。任天堂もその一部を受け取る可能性がある。

こうした動きを受け、米国の2人のゲーマーが「米政府からの還付金を顧客に還元していない」として、任天堂を相手取る集団訴訟を起こしたと報じられている。

原告は、カリフォルニア州のGregory Hoffertと、ワシントン州のPrashant Sharanである。2人は、関税による値上げ後の任天堂製品を購入したという。彼らの主張は、「任天堂は違法とされたトランプ関税の返金を政府から受け取りながら、その関税分を価格に上乗せして消費者からも回収しており、結果として二重取りになっている」というものだ。

原告側は、2025年2月1日から2026年2月24日までの間に、関税による値上げが行われた任天堂製品を米国内で購入した消費者全体を代表する集団訴訟として扱うよう、裁判所に求めている。

多くの企業と同様、任天堂も昨年発効したトランプ関税の大きな影響を受けた。それは、初代Nintendo Switch、Switch 2 Pro Controller、Joy-Con 2など、さまざまな製品の値上げにつながる契機となった。

これに先立ち、米ゲーム情報メディアGamefileは、米任天堂が関税の還付を求めて訴訟を起こした際、値上げされた製品を購入した顧客へ還元する意思があるか問い合わせている。これに対し任天堂側は、「我々は訴状を提出したが、この件について共有できることは何もない」と回答している。

もっとも、同種の訴訟を提起したFedExは、関税返金を消費者に還元すると約束したものの、それでも集団訴訟を起こされている。仮に任天堂が返金を約束していたとしても、訴訟自体は避けられなかった可能性がある。

なお、今回の集団訴訟には懐疑的な見方も少なくない。米国の商取引上、「仕入れコストが後から返金されたとしても、それを過去の消費者へ自動的に還元しなければならないというルールはない」との指摘もある

また、ポケモンの元最高法務責任者も、「関税を理由に値上げすることと、単に利益拡大のために価格を引き上げることに明確な違いはない。企業に利益率を低く保つ法的義務はない」として、訴えが棄却される可能性が高いと示唆している。

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