トイレのトラブルは続きます
アルテミス2号、故障復旧のトイレから焦げ臭漂う。原因は不明

53年ぶりの有人月探査ミッションであるアルテミス2号は、打ち上げから1時間でオリオン宇宙船内にあるトイレにトラブルが発生し、ある意味月よりもトイレの方が世界中の注目を集めることとなっている。
当初発生した故障警告灯の問題は、数時間で解決し、4人の宇宙飛行士は月への行程に集中できるようになったはずだった。だが、宇宙船用トイレは完全には正常に戻っていなかったようで、今度はトイレから焦げたような匂いがすると、管制センターに飛行士から連絡が入った。その匂いは、数か月間放置していた電気ヒーターのスイッチを入れたときのような匂いだという。
ただ、オリオン宇宙船担当の副プログラムマネージャー、デビー・コルス氏が報道陣に述べたところでは、NASAの技術者たちが異臭の原因特定に尽力している最中で、まだ調査は初期段階で正確なことはわかっていないが、テープや配線の被覆などの材料から異臭を放つガスが発生している可能性があるとした。そして管制センターは、この問題をそれほど深刻とは考えていないとした。
なお、オリオン宇宙船のトイレ絡みの問題としては、ほかにも最初のトラブル解決後に、タンクにたまった尿を船外に排出する際に、周囲の低温環境のせいで尿が凍結し、排出が停止するという問題も起こった。
管制センターはこの問題に対し、船体の姿勢を排出口のノズルが太陽光に当たる側に回転させて数時間「加熱」し、暖まったノズルから改めて尿を排出できるようにした。

こうして飛行士らは再びトイレを使って用を足せるようになったはずだ。しかし、まだ排泄物収集袋を使用して、その中身を排出口から外へ放出するよう指示されているようだ。
土曜日には、飛行士らは暖めた排出口からタンク内の尿の約半分を排出できた。だがそれでも、トイレは使用許可が下りていない。初日にトイレの不具合対応に当たったクリスティーナ・コック飛行士は「いつ頃になればトイレが再び使えるようになるか」とジョンソン宇宙センターの管制センターに問い合わせているが、明確な返答は得られていない模様だ。
なお、NASAの宇宙飛行士であるドン・ペティット氏はXに排泄物収集袋(CCU:Collapsable Contingency Urinal)の写真を投稿した。巨大な歯磨きチューブのような袋は再利用可能、密閉可能、排水可能な開放型の容器で、約11kg分の尿をためることができるとのこと。飛行士はこの容器を1人あたり2つずつ供給されているという。
オリオン宇宙船のトイレは、国際宇宙ステーション(ISS)に設置されているトイレの縮小バージョンだ。トイレを収容する衛生室は、オリオン宇宙船の床に組み込まれており、当初は焦げ臭い匂いがこのオレンジ色の壁から発生しているのではないかと疑われていた。
アルテミス2号ミッションは約10日間の日程で行われる予定であるため、トイレの問題は早期に解決されることが望まれる。
ちなみに、アルテミス2号ミッションは53年ぶりの有人での月接近探査だが、着陸は行わない。飛行士は月を周回する軌道をめぐって地球に帰還する間に、将来的に人類を月面に再び着陸させるためのシステムをテストする予定となっている。その他、月面への最接近飛行は4月6日(日本時間7日午前9時頃)に予定されており、4月10日にカリフォルニア沖の太平洋に着水するスケジュールとなっている。
また、アルテミス計画では現在、2028年までに人類を月面に帰還させ、2032年までに恒久的な月面基地を建設することを目標としている。
