以前はメタバースに全力投球(all-in)していました

Meta、自社VRメタバース『Horizon Worlds』6月15日で閉鎖。モバイル版に「全力投球」宣言

Munenori Taniguchi

Imege:Meta

Metaが、Quest VRプラットフォーム向けのメタバースサービス『Horizon Worlds』を6月15日に閉鎖すると発表した。これは先月に予告されていたことで、閉鎖の期日だけが未定だった。なお、MetaはQuest VR版を閉鎖することで、今後はモバイル版の『Horizon Worlds』に「all-in(全力投球)」していくとの決意を述べている。

Horizon WorldsはMetaが運営するソーシャル・バーチャルワールドで、2019年に発表された当初はFacebook Horizonと呼ばれた。その後2021年に現在の名称となり、同年12月に米国とカナダでサービスを開始した。

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは当時「メタバースとは、物理世界とデジタル世界が融合する場所で、そこでは、人々は自身のデジタルツインであるアバターを通じて仕事や遊びの中で交流し、オフィスで会議をしたり、コンサートに行ったり、服を試着したりできる」と説明し、それこそが、将来のインターネットの姿だとの考えを示した。その後2023年からは、VR版と並行してウェブ版およびモバイル版の『Horizon Worlds』がサービスを開始している。

人々がメタバースに大きな期待を寄せた理由は、新型コロナのパンデミックが一因にあるだろう。未知の感染症が世界に拡散した結果、誰もが可能なかぎり外出を控えて生活を送るようになった。人々は(職種にもよるが)在宅勤務で仕事を続けるようになり、Netflixなどの動画ストリーミングサービスやビデオゲームが娯楽の主流になった。

そんな世の中を見たザッカーバーグ氏は、これからは人々はVR空間で交流するようになり、仕事もそこでできるようになると考えた。そして「次世代のモバイルインターネット」をいち早く実現するとの決意を込めて、Horizon Worldsを開始した2021年に社名をFacebookからMetaに変更している。

しかし、新型コロナワクチンの接種が進みパンデミックが収束するにつれて、人々はもとの生活に戻っていった。そして、2022年12月に登場したOpenAIのChatGPTを機に、インターネット・IT業界のトレンドは生成AI一辺倒になっていった。

実際のところ、生成AIの台頭がなくとも、人々はそれほどメタバースに興味を示していなかったように思える。VR関係の人気も一時は盛り上がったが、かさばる上にそれなりの重量もあるヘッドセットで頭部~顔面を覆うことへの抵抗感は大きく、またそれら機材が広く一般に普及するレベルにまで価格が下がらなかった。

Metaによると、個々のHorizon Worldsとイベントは3月31日までにQuestのストアに表示されなくなり、VRヘッドセットユーザーは「Horizon Central、Events Arena、Kaiju、Bobber Bay」などのワールドにアクセスできなくなる。その後、6月15日以降はQuestヘッドセットからアプリが削除され、VRでのワールドへのアクセスは完全に終了となる。

最近追加されたばかりの、Questヘッドセットの所有者が実在の場所を詳細な3Dスキャンでキャプチャして、共有したり、互いのスキャンした場所に訪れたりできる「Hyperscape Capture」機能も、Horizon Worldsから削除される。MetaによるとHyperscapeのキャプチャや閲覧は可能だが、「他者とのHyperscapeの共有、招待、共同体験は今後サポートされなくなる」とのことだ。

一方、iOSおよびAndroid向けのMeta Horizonアプリは6月15日以降も変わらず利用可能だ。Metaのメタバースへの野望はVR版を終了することで縮小・後退するように見えるが、モバイル版は2025年に「好調な勢い」があったのだという。なお、MetaのVR部門であるReality Labsは現在、有望な製品分野であるスマートグラスの開発に注力している。一方でMetaは業界の現在のトレンドである生成AIへの投資を拡大しており、今月10日には話題になったAIエージェント専用SNS「Moltbook」を買収した。

ちなみにReutersは14日、Metaが従業員の20%以上に影響を与える可能性のある大規模な人員削減を検討していると報じている

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