天気が良ければ太陽電池だけで40km走ります
「未来のクルマ」具現化したようなApteraのソーラーEV、今年後半に納車へ。検証ライン1号車完成

まるでイルカの鼻先のようなフロントまわりをはじめ、流れるようなフォルムが印象的なソーラーEVを開発するAptera Motorsが、その量産に向けた検証ライン1号車を完成させた。
Aptera Motorsは決して規模は大きくないが、2006年から紆余曲折ありながらも、このソーラーEVの開発を続けてきた。そういう意味ではもはやスタートアップの域を超えているかもしれない。ただ、最近でも機関投資家主導で総額約900万ドルの株式調達を完了するなど、将来を有望視されているスタートアップに違いはない。
この直近の投資は、カリフォルニア州カールスバッドに構成された、量産に向けた検証用組立ラインでの、10台の車両の試作と、量産体制構築に向けた準備資金として使用されるという。すでに6台がこの検証用ラインで組み立てに入っており、そのうちの第1号車がこのほど完成した。
プレスリリースによると、「検証用組立ラインは依然として少量生産の組立工程だが、今回の成功は、同社が手作業で組み立てる検証用SEVから、量産に向けて微調整される、より体系化された組立ラインプロセスへの移行を象徴するもの」だという。
この検証用ラインは14の専用ステーションで構成され、それぞれに技術者チームが繰り返し製造プロセスの最適化を重ねることで将来の量産ラインにそれを反映する予定だ。また、検証用組立ラインからの1号車が完成したことは、米環境保護局(EPA)による認証や、最初の予約客への納入に向けた大きなステップとなる。このラインで組み上げられた10台の車両はそれぞれ、熱処理、ブレーキ性能、衝突試験など特定の試験プログラムに割り当てられる。
Apteraの創業者CEO、スティーブ・ファンブロ氏は「最初の車両が完成したことは、当社全体にとって大きな成果だ。これらの最初の車両は、最初の車両を販売するために必要な主要なテストと最適化を完了するために使われる予定だ」と述べている。
ApteraのソーラーEVは、非常に空気抵抗が少なく、カーボンファイバーによって軽量に仕上げられたボディシェルの上面に太陽電池パネルを敷き詰めた、超高効率な3輪電気自動車だ。一般的な電気自動車(BEV)とは異なり、日当たりの良い晴天の日中なら太陽電池の発電だけで1日最大40マイル(約64km)を走行できると同社は謳っている。さらに、わずか1時間でフル充電できるというバッテリーは、最大400マイル(約643km)の走行距離を提供するとされている。つまり、このクルマのオーナーは、日常的な使用ではほとんど充電に手間をかける必要がない。
Apteraの広報担当者ソニア・ヴィッサー氏は、今後の予定として「試験と規制当局による検証を可能な限り効率的に進めながら、この検証車両シリーズの構築を継続している」「検証のマイルストーンに到達するたびに、さらなるアップデートをお届けする」と述べた。
この記事冒頭で、Apteraは2006年からこのソーラーEVを開発してきたと記したが、2011年には一度経営破綻を経験している。その後暫定会社の期間を経て、2019年に再建され、以後は堅実に歩みを進めてきた。そしていま、量産に向けた体制を構築し、2026年内にも顧客のもとへ納車を開始することを目標に、その歩みを進めているところだ。
同社のソーラーEVには2026年3月時点で約5万件の予約が入っているという。Apteraのローンチエディション1台あたりの価格は、以前発表されていた額からやや引き上げられ、4万ドル(約630万円)からとなっているため、もし全てが生産・納入されれば、その売り上げは20億ドル(約3150億円)に達する計算だ。その後、2028年には本格的な量産体制を整えることを計画している。
ちなみに、Apteraのウェブサイトを訪れれば、同社がNASDAQに上場していることを伝えるバナーが表示される。ティッカーシンボルはSEVとなっているが、これは「Solar EV」の略でわかりやすい。同社の株価は年初から少し下がっていたが、現在は回復してきており、記事執筆時点で2.36ドルだ。
