日本ではおそらく使えません

寒さで「自動的にスタッドレスになる」スパイクタイヤ開発。ノキアンが2026年後半発売へ

Munenori Taniguchi

Image:Nokian Tyres

やたらと「さくら」を連呼する少し前のヒット曲が、どこからともなく聞こえてくる季節にさしかかっているが、フィンランドの老舗タイヤメーカーであるノキアンタイヤは、早くも次のウィンターシーズンに向けた冬用タイヤを発表した。

「Hakkapeliitta 01」と名付けられたそのスパイクタイヤは、「ダブルアクションスタッドテクノロジー」と称する技術により、ドライバーが季節に合わせてスタッドレスタイヤに交換したり、ガレージや路肩でタイヤチェーンを装着したりする手間をなくす、画期的なタイヤだ。ノキアンタイヤは、このような機能を持つタイヤは市場初だと述べている。

このタイヤに埋め込まれたスタッドは、暖かい時期にはタイヤのコンパウンド内に収納される。一方で、冬の氷点下の寒さにおいては、まるでネコの爪のように自動的に表面に突き出て、凍結路面でのトラクションを向上する機能を発揮するという。

ノキアンタイヤの社長兼CEOであるパオロ・ポンペイ氏は、発表において「Hakkapeliitta 01は、当社が90年以上前に初の冬用タイヤを発表して以来、最大の革新のひとつだ。この新しい冬用タイヤは、温度変化に反応し、究極の安全性を提供しながら路面を保護するという、これまで不可能と思われていたことを実現するスパイクタイヤだ」と述べた。

Hakkapeliitta 01は、スタッドの根元を「アダプティブベースレイヤー」と呼ばれる3つの素材からなる層に固定している。アダプティブベースレイヤーは常温では柔軟で、走行時にはスタッドがタイヤ内に沈んだ状態を維持する。だが、気温が氷点下まで下がると、このレイヤーは硬化して、逆にスタッドを押し出す方向に作用する。そのため、凍結した路面でもしっかりとグリップするようになる。

ノキアンタイヤは2014年にこのタイヤの原型となるコンセプトタイヤを発表した。そのタイヤは、ドライバーがボタンを押すことで、タイヤスタッドを表面に露出し、雪や氷で覆われた道路でのグリップを向上するというものだった。だが、この仕組みをどうやって実現するかについての説明はなく、コンセプトが製品化されることもなかった。

しかし、同社はこの技術をさらに一歩推し進め、ボタンの操作などなくとも、自動的かつ必要なときにスパイクタイヤに変身する仕組みを実現した。

ノキアンタイヤによると、この技術によりHakkapeliitta 01は、同社の主力製品であるHakkapeliitta10と比較して、路面摩耗を最大30%低減する一方、氷上でのグリップが10%向上すると述べている。

気になるのは、このタイヤを実際に使用する場合、走行中に気温や路面温度が大きく変動したらどうなるのかというところだ。凍結路面を走っていたのに、トンネルに入ると急に気温・路面温度が高くなるようなことは、あり得なくもないはずだ。この疑問に対しノキアンタイヤは、ベースレイヤーの作動は多くの環境要因に依存するとしつつ、運転中に路面が変化すれば、すぐに作動してそのままタイヤを使用し続けられるほど反応が早くなければならないと説明した。

日常的に気温が氷点下になる地域で生活する人ほど、このタイヤは非常に役立つことだろう。ノキアンによると、Hakkapeliitta 01は14インチから22インチまでの124サイズで展開されるため、幅広い車種の乗用車やSUVに適合するはずだ。

このタイヤは、今年後半には欧州と北米で販売開始を予定している。なお、おそらく分類上はスパイクタイヤであるため、購入前には居住する地域の法律がその使用を許可しているか確認が必要だ。

ちなみに、ノキアンタイヤは日本法人もあり、同社の高性能スタッドレスタイヤは日本国内でも入手可能だ。ただ日本国内では、ほとんどの道路でスパイクタイヤの使用が禁止されていることもあり、同社の日本語公式SNSアカウントでは、Hakkapeliitta 01の日本導入は難しそうだと述べている。

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