高価格は変わらない見通し

次期iPad Proはさらにベゼルが細く?すでに量産開始、2025年後半発売か

多根清史

Image:VGV MEDIA/Shutterstock.com

アップルは次期iPad Proの有機ELディスプレイに新たな技術を採用し、さらなる狭額縁化を図る可能性があると報じられている。

韓国の電子業界メディアThe Elecによれば、LG Innotekが将来のiPad向け有機ELパネル用に、自社のチップ・オン・フィルム(CoF)技術を供給することを目指しているという。

この技術が採用されれば、本体サイズを据え置いたまま、より細いベゼルと大画面ディスプレイの両立が可能になる。CoF技術とは、ディスプレイドライバICを柔軟なフィルム上でパネルに熱圧着する方式であり、ベゼルのさらなるスリム化や薄型・軽量化にも貢献する構造である。

現在、アップルは有機EL版iPad ProのディスプレイドライバICとして、Samsung System LSIのチップを独占的に採用している。今後これをLGに切り替えることで、サプライチェーンの多様化およびコスト削減が期待される。

次期iPad Proは、M5チップを搭載して2025年後半に登場すると噂されており、さらに2027年までには横向き配置のAppleロゴや、自社設計チップの搭載、18.8インチの折りたたみ式iPad Proの投入も予測されている。

The Elecの報道とほぼ同時期に、台湾の電子業界誌DigiTimesも新情報を報じている。それによれば、2025年モデルのiPad Proの生産はすでに始まっており、サムスンおよびLGが2025年6月よりOLEDディスプレイの量産を開始したという。

ただし、有機EL版iPad Proの高価格が引き続きユーザーの購買意欲を削ぐと予想されている。2024年のパネル出荷台数は当初予想されていた900万台を大きく下回り、実際には630万台にとどまった。2025年も同水準で推移する見込みであるという。

実際、有機EL版iPad Proは発売当初こそ堅調な出荷を見せたものの、数か月後には価格の高さが障壁となり、需要が急速に落ち込んだ経緯がある

アップルがiPadOS 26でマルチタスク機能やウィンドウ操作をMacに近づけようとしているのは、iPad Proの実用性と商品価値を高め、ユーザー離れを食い止めようとする狙いも含まれているのかもしれない。

関連キーワード: