3D V-Cacheの搭載は見送られる見通し

PS6と次世代Xboxは「UDNA」ベースでレイトレーシング機能が5倍にアップか

多根清史

Image:Barone Firenze/Shutterstock.com

今後数年のうちに、PlayStationとXboxの双方が次世代ハードウェアを投入する可能性が高い。いずれも引き続きAMD製APUを搭載するとみられており、PlayStationはまだ噂の段階であるものの、Xboxについては正式に発表されている。

そんななか、PlayStation 6(PS6)および次世代Xboxともに、AMDの次世代GPUアーキテクチャ「UDNA」を採用予定であり、レイトレーシングやAI性能が大幅に向上するとの噂が報じられている。「UDNA」は昨年9月に公式発表されており、RDNAとCDNAを統合した新しい設計とされている。

この情報は、AMD関連の著名リーカーであるKeplerL2氏が、ゲーム関連フォーラムNeoGAFで語ったことだ。同氏によれば、UDNAアーキテクチャではラスタライズ性能がRDNA 4比で1CU(コンピュートユニット)あたり約20%向上し、レイトレーシングおよびAI性能は2倍になるという。

ただし、この「2倍のレイトレーシング性能」とは、単純にフレームレートが2倍になることを意味するのではなく、レイトレーシング処理におけるフレームタイムが半減し、描画負荷が大幅に軽減されることを指している。また「2倍のAI性能」は、AIアップスケーリングやフレーム生成といったグラフィックス強化に直接つながるものとされている。

ちなみに、現行のPlayStation 5(PS5)およびXbox Series X|SのGPUはいずれもカスタムRDNA 2ベースである。そしてPS5 Proは、より世代の新しいRDNA 4と同等の高速レイトレーシングおよびAI機能を備えている。RDNA2 → RDNA4 → UDNAという進化の累積効果をトータルで見れば、PS5/Xbox Series X|S比でラスタライズ性能はおよそ40%、レイトレーシング性能は最大で5倍に向上する可能性がある。

PS6および次世代Xboxでは、現行よりもCU数が増加する可能性が高く、それによって総合的な性能向上が期待されている。さらに、CPU部分には「Zen 5」や「Zen 6」世代が採用される見通しであり、AI処理向けのNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)の搭載も検討されている模様だ。

マイクロソフトとソニーは、AMDのリファレンス設計をベースに最小限のカスタマイズを施す方針とされており、主なカスタマイズ内容は「後方互換性のための機能復元」や「未使用機能の削減」などにとどまる見込みである。つまり実質的な性能向上の大部分はAMDの技術進化に依存しており、過去のソフト資産の引き継ぎ以外では、両機種ともに似通った構成になる可能性が高い。

両プラットフォームとも、24GBのGDDR7メモリの採用を検討しているが、3D V-Cache(3次元積層キャッシュ技術。従来の2Dレイアウトに比べ大容量のキャッシュを実装可能)の搭載は見送られる見通しである。現行のPS5、PS5 Pro、Xbox Series Xはいずれも16〜18GBのRAMを搭載しており、グラフィックのさらなる高度化にともないメモリの大容量化は不可避となっている。

こうした技術的飛躍が、実際のゲームにどのような進化をもたらすのかも注目される。すでに1億ドル超の開発費をかけたタイトルも珍しくなくなってきているなか、ゲームの大作化が今後どこまで進むのか、その持続可能性も問われつつある。

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